715系 形式一覧	715系0番台 鹿児島線 天拝山-原田
	715系0番台 登場の背景と概要 国鉄は、交流電化区間に残っていた気動車、客車列車の電車化及び増発のため、近郊形交流電車が大量に必要としましたが、当時の国鉄の財政事情から新車を投入することができませんでした。そこで、国鉄は1983年に余剰となっていた向日町運転所の581系交直流特急形寝台電車を近郊形に改造し、715系に区分しました。715系は2M2Tの4両編成で、12編成が改造されました。 車体 581系の車体はそのまま流用し、出入口の増設及び一部側窓を上段下降、下段上昇ユニット窓に変更する改造が行われています。車体側面に設置されていた寝台上中段の小窓は残されました。また、先頭車が不足するため、クハネ581形を改造したクハ715形0番台は長崎、早岐方に、不足する先頭車はサハネ581形を改造して切妻運転台を取り付け、長崎、早岐方はクハ714形、門司方はクハ715形100番台とされました。581系の既設700mm幅の折戸を流用、新規に同じ構造の折戸を1箇所ずつ追加しており、戸閉装置はTK7Aです。外部塗装はクリーム1号で、窓下に緑色14号の帯が配されました。 モハ715形0番台 モハネ581形の前側のトイレ・洗面所を撤去し、折戸を追加設置しました。屋根上には押込み形通風器と2700kcal/hのユニットクーラAU15が9台設置されています。 モハ714形0番台 モハネ580形の前側のトイレ・洗面所を撤去し、折戸を追加設置しました。屋根上には押込み形通風器と2700kcal/hのユニットクーラAU15が4台と床上に4000kcal/hのユニットクーラAU41が3台設置されています。 クハ715形0番台 長崎、早岐方に連結され、クハネ581形の後側の側窓を埋め、折戸を追加設置しました。 クハ715形100番台 門司方に連結され、サハネ581形前側のトイレ・洗面所部分の車体を切断し、切妻形の運転台ユニットを新たに取り付けました。また、前側の側窓を埋め、折戸を追加設置しました。 クハ714形0番台 長崎、早岐方に連結され、サハネ581形後側の出入口部分の車体を切断し、切妻形の運転台ユニットを新たに取り付けました。また、前側、及び後側の2箇所の側窓を埋め、折戸を移設・追加設置しました。 台車 動台車は581系のDT32Dの歯数比を5.6としたDT32Kに改造されました。付随台車はTR69Dが流用されています。インダイレクトマウント式空気バネ台車で、枕バネはダイヤフラム式空気バネ、軸箱支持方式はペデスタル式とし、アンチローリング装置としてトーションバーが取り付けられています。基礎ブレーキ装置は、動台車は車輪踏面片押し式、付随台車にはディスクブレーキとしています。 走行機器及び補機 581系のものが流用され、主電動機は出力120kWの直流直巻電動機MT54/MT54Bで、モハ715形0番台に設置された抵抗制御の主制御器CS15Cにより、モハ714形0番台を含めた8個の主電動機を制御しています。581系の歯数比は3.5のため起動加速度が低く近郊形には適していないことから、101系廃車発生品の駆動装置に取り替えられています。モハ714形0番台の床下には主整流器RS22A、及び60Hz用の主変圧器TM10が、屋根上には高圧対策を施したPS16Dパンタグラフが1台設置されています。交流専用車としたため交直切替装置とパンタグラフのうち1台が撤去されています。クハ715形0番台の運転室後部機器室にはクハネ581形から流用した電動空気圧縮機MH113A-C2000と、出力150kVAの電動発電機MH93B-DM55Bが設置されています。一方、改造車のクハ714形は床下に、電動空気圧縮機MH113B-C2000Mと、出力110kVAの電動発電機MH128D-DM85Dが設置されています。空気ブレーキ装置は発電ブレーキ併用電磁直通ブレーキとしています。 客室設備 車内はシートピッチ1970mmのセミクロスシートです。クロスシートはモハ714形0番台については車体中央の6ボックス、それ以外は8ボックスが581系から流用されています。それ以外の場所はロングシートが新たに取り付けられました。また、吊革と手摺りが設置されています。固定窓部には種車のベネシャンブラインドが、開閉窓部にはロールアップカーテンが設置されました。クハ715形0番台及びクハ714形は種車の和式トイレ1箇所がそのまま流用されており、残る和式トイレ1箇所は閉鎖、トイレ向かいにある洗面台は撤去の上、カバーを取り付けたデッドスペースとなりました。 運用 715系0番台は1984年2月より鹿児島線博多-鳥栖間、及び長崎線、佐世保線の普通電車として営業を開始しました。1985年以降鹿児島線の鳥栖-荒木間や福間-博多間でも使われるようになりました。また、1986年から1990年までは臨時急行「ふるさとライナー長崎・佐世保・熊本・大分号」、「ホリデー長崎・佐世保・熊本号」、及び「ひのくに号」としても使用されました。 改造 1986年に外部塗装がクリーム10号、幕板及び窓下に青色23号の帯に変更されました。車体側面に残されていた寝台上中段の小窓は1985年以降閉鎖されました。 廃車 715系0番台は1996年より813系の導入により置き換えが開始され、1998年に全車廃車となりました。 715系1000番台 登場の背景と概要 国鉄は、仙台地区に残っていた気動車、客車列車の電車化及び増発のため、国鉄は1984年に余剰となっていた向日町運転所の583系交直流特急形寝台電車を近郊形に改造し、715系1000番台に区分しました。715系1000番台は2M2Tの4両編成で、15編成が改造されました。 車体 583系の車体はそのまま流用し、出入口の増設及び一部側窓を上段下降、下段上昇ユニット窓に変更する改造が行われています。車体側面に設置されていた寝台上中段の小窓は溶接で閉鎖されました。また、先頭車が不足するため、クハネ581形を改造したクハ715形1000番台を黒磯方に、不足する先頭車はサハネ581形を改造して切妻運転台を取り付けたクハ715形1100番台を一ノ関側に連結しました。583系の既設700mm幅の折戸を流用、新規に同じ構造の折戸を1箇所ずつ追加しており、戸閉装置は半自動のTK7Aとしました。外部塗装はクリーム1号で、窓下に緑色14号の帯が配されました。 モハ715形1000番台 モハネ583形の前側のトイレ・洗面所を撤去し、折戸を追加設置しました。屋根上には押込み形通風器と2700kcal/hのユニットクーラAU15が9台設置されています。 モハ714形1000番台 モハネ582形の前側のトイレ・洗面所を撤去し、折戸を追加設置しました。屋根上には押込み形通風器と2700kcal/hのユニットクーラAU15が4台と床上に4000kcal/hのユニットクーラAU41Aが3台設置されています。 クハ715形1000番台 黒磯方に連結され、クハネ581形の後側の側窓を埋め、折戸を追加設置しました。 クハ715形1100番台 一ノ関方に連結され、サハネ581形前側のトイレ・洗面所部分の車体を切断し、切妻形の運転台ユニットを新たに取り付けました。また、前側の側窓を埋め、折戸を追加設置しました。 走行機器及び補機 583系のものが流用され、主電動機は出力120kWの直流直巻電動機MT54B/MT54Dで、モハ715形1000番台に設置された抵抗制御の主制御器CS15Eにより、モハ714形1000番台を含めた8個の主電動機を制御しています。581系の歯数比は3.5のため起動加速度が低く近郊形には適していないことから、101系廃車発生品の駆動装置に取り替えられています。モハ714形1000番台の床下には主整流器RS22、及び50Hz/60Hzに対応した主変圧器TM20が、屋根上には高圧対策を施したPS16Hパンタグラフが1台設置されています。交流専用車としたため交直切替装置とパンタグラフのうち1台が撤去されています。クハ715形1000番台の運転室後部機器室にはクハネ581形から流用した電動空気圧縮機MH113A-C2000と、出力150kVAの電動発電機MH93B-DM55Bが設置されています。空気ブレーキ装置は発電ブレーキ併用電磁直通ブレーキとしています。 客室設備 車内はシートピッチ1970mmのセミクロスシートです。クロスシートはモハ714形1000番台については車体中央の6ボックス、それ以外は8ボックスが583系から流用されています。それ以外の場所はロングシートが新たに取り付けられました。また、ドア部に防風板、及び吊革と手摺りが設置されています。固定窓部には種車のベネシャンブラインドが、開閉窓部にはロールアップカーテンが設置されました。クハ715形1000番台は種車の和式トイレ2箇所がそのまま流用されており、トイレ向かいにある洗面台は撤去の上、カバーを取り付けたデッドスペースとなりました。 運用 715系1000番台は1985年3月より東北線黒磯-一ノ関間、及び奥羽線福島-庭坂の普通電車として営業を開始しましたが、1991年11月に奥羽線の改軌工事開始に伴い、それ以降は東北線のみで運用されました。 改造 1986年に外部塗装がクリーム10号、窓下に緑色14号の帯に変更されました。また、中段寝台の撤去が一部の車両に対して実施されました。 廃車 715系1000番台は1995年より701系の導入により置き換えが開始され、1998年に全車廃車となりました。
	主要諸元(0番台) 項目 内容 電気方式 交流20000V, 60Hz 車両性能 最高速度: 100km/h 全長 20000mm 全幅 2950mm 全高 4235mm 台車 DT32K (動台車)　TR69D (付随台車) 集電装置 PS16D 主電動機 MT54B (120kW) 駆動装置 中空軸平行カルダン撓み板継手方式(歯数比: 5.60) 主変圧器 TM10 主整流器 RS22A 制御方式 抵抗制御(CS15C) 冷房装置 AU15, AU41 設計 日本国有鉄道 主要諸元(1000番台) 項目 内容 電気方式 交流20000V, 50/60Hz 車両性能 最高速度: 100km/h 全長 20000mm 全幅 2950mm 全高 4235mm 台車 DT32K (動台車)　TR69D (付随台車) 集電装置 PS16H 主電動機 MT54B (120kW) 駆動装置 中空軸平行カルダン撓み板継手方式(歯数比: 5.60) 主変圧器 TM14 主整流器 RS22A 制御方式 抵抗制御(CS15E) 冷房装置 AU15, AU41 設計 日本国有鉄道