735系 形式一覧	千歳線 上野幌-北広島
	登場の背景と概要 JR北海道は軽量化、コスト低減が期待できるアルミ合金の中空押出型材を用いたダブルスキン構体の導入を検討しました。しかし極寒冷地である北海道での実績が無いことから、JR北海道は2010年に735系を製造しました。 車体 車体にはアルミ合金の中空押出型材を用いたダブルスキン構体を採用しました。この構造は外板、柱、内骨による構体と比べて溶接箇所の削減、車体剛性の向上に加え、形材にアリ溝を設けることで、機器や内装品を構体に直接取り付けることができるため、製造時工数削減に寄与しています。車体幅は231系と同じ2800mmですが、車体傾斜を考慮しないため車体断面形状が変更されました。また、床面高さを731系より100mm下げることで出入口のステップを廃止しています。車体はシルバーメタリックで塗装され、正面中央左右にウグイス色の横帯を配しています。先頭部は中央部に幌座付き貫通扉を設置した鋼製で、踏切事故対策として高運転台の導入と先頭部幌柱の強化、運転席周囲の骨組の強化が実施されています。貫通扉上部には3色LED行先表示装置、行先方向幕の左右にシールドビームを採用した前照灯及びLEDの尾灯が、貫通扉の左右下部にはシールドビームと高深度HIDを採用した前照灯が取り付けられています。車体側面には幅1200mmの自動片開き扉が3カ所設置され、押しボタンによる手動開閉が可能です。扉間には幅1990mm、高さ990mmの固定窓が2箇所設置されています。扉の鴨居部にはドア開閉ランプが2灯設置されています。扉や固定窓は破損防止のためガラスとポリカーボネイトの複層構造窓が採用されています。また、モハ735形100番台の車端部には雪切室の通風口が設けられています。車体側面には3色LED行先表示装置が設置されています。屋根上には30000kcal/hのユニットクーラN-AU735が1台取り付けられています。床下機器は凸凹を無くし、機器間には板厚1mmのステンレスのふさぎ板を取り付けて、雪の付着と機器損傷を防止しています。 台車 台車は軽量ボルスタレス方式の動台車がN-DT735、付随台車がN-TR735で、牽引力は1本リンク式牽引装置で伝達されます。床面高さ低減のため車輪直径を810mmするとともに、台車側梁を弓形にすることで枕バネ位置を低下させています。枕バネは空気バネ、軸箱支持方式は軸梁式とし、130km/h運転時の安定性確保のため、ヨーダンパを取り付けています。動台車の動力伝達方式はCFRP製のたわみ板を用いたたわみ軸継手(TD継手)方式とし、歯車比は4.89としました。基礎ブレーキ装置は高粘着合金鋳鉄制輪子を採用した車輪踏面両抱式です。 走行機器及び補機 モハ735形100番台の床下にはIGBTを用いた3レベルPWMコンバータとIGBTを用いた2レベルインバータで構成される主変換装置N-CI735が設置され、出力230kWの強制通風式誘導電動機N-MT735を台車単位で制御しています。また、モハ735形100番台の床下には冷却方式に走行風自冷式を採用した外鉄形の主変圧器N-TM735-ANが、屋根上にはシングルアーム式パンタグラフN-PS785が取り付けられています。また、クハ735形200番台の床下にはレシプロ式電動空気圧縮機N-MH1785-C2000MLと、主変圧器の3次巻線からの交流電源により、直流と交流を出力するためダイオードブリッジ整流とIGBTチョッパ制御方式を採用したコンバータとインバータで構成される出力4.25kVAの補助電源装置N-APS-735が2台取り付けられています。空気ブレーキ装置は回生ブレーキ併用電気指令式を採用し、T車遅れ込め制御を取り入れています。回生ブレーキには全電気ブレーキ方式が導入されています。 客室設備 客室設備は片持ち式のロングシートで、両端部から3席目にスタンションポールが設置されています。出入り口には防寒対策として、座席端部にパーティションを設置すると共に、出入口上部にエアカーテン及び出入口用温風暖房装置が扉部に設置されています。出入口上部にはLED式車内案内表示器が千鳥に設置されました。側窓のカーテンは廃止されました。クハ733形100番台には真空式汚物処理装置付き車椅子対応トイレと車椅子スペースが設置されました。運転室は左手ワンハンドルマスコン方式が採用されました。貫通扉と助士席側前面窓にはポリカーボネイトの表面を導電体として、通電すると発熱する仕組みとした発熱ポリカーボネイトを採用しました。 運用 735系は2010年3月に札幌運転所に投入後、低温時や降雪時における車体断熱性などを検証する走行試験を実施しました。そして、2012年5月より営業運転を開始しました。735は現在函館線、千歳線、及び札沼線の普通電車に使用されています。
	主要諸元 項目 内容 電気方式 交流20000V, 50Hz 車両性能 加速度: 2.2km/h/s 最高速度: 120km/h 全長 20800mm 全幅 2800mm 全高 4015mm 台車 N-DT735(動台車)　N-TR735(付随台車) 集電装置 N-PS725 主電動機 N-MT735(230kW) 駆動装置 平行カルダン(歯数比: 4.89) 主変圧器 N-TM735-AN 主整流器 N-CI735 制御方式 2ステップVVVFインバータ (N-CI735) 冷房装置 N-AU735(30000kcal×1) 設計 JR北海道