登場の背景と概要
信越、羽越、越後線等で使用している老朽化が進み、また、デッキ付2扉構造の急行型電車の構造により、朝夕ラッシュで列車遅延が多発させていた165系急行型直流電車を置き換えるため、JR東日本は1995年にE127系0番台一般形直流電車を開発しました。E127系は1M1Tの2両編成で、1995年3月に6編成が投入されました。
車体
E127系0番台は幅2870mmのビードレス狭幅軽量ステンレス車体で、プレスされた部材と外板を突き合わせそれ自体が強度を保っている、いわゆる2シート工法が採用されています。ホームとの段差を縮小するため、床上面高さを1130mmとしました。外板は無塗装で前面窓下と側面の窓下には濃淡の緑色の帯、窓上と車体裾部には濃緑色帯が配されました。先頭部はFRP製のカバーで覆われ貫通扉が設置されており、運転席は低運転台構造です。車体側面には幅1300mmの自動両開き扉が3カ所設置され、押しボタンによる手動開閉が可能です。戸閉装置は直動式のTK113Dで、鴨居部に取り付けられています。各出入台上部にはLED式車内案内表示器とドアチャイムが設置されています。扉間には高さ960mmの4連窓、車端には固定窓が設置されており、扉間の4連窓のうち中央の2箇所は下降窓となっています。窓ガラスは熱線吸収ガラスを採用し、ブラインドを廃止しました。車体側面には駅で待つ乗客に車掌が案内放送をするためのスピーカと行先方向幕が設置されました。また両端乗降扉の戸袋部には、ワンマン運転用の出入口表示器が取り付けられています。屋根上には42000kcal/hの耐寒耐雪構造を採用したユニットクーラAU720A-G2が1台設置されています。通風器は設置されていません。分割併合を容易にするため、先頭部には自動解結装置が取り付けられました。
台車
209系の台車を基本に床面高さを下げるため台車枠形状を変更したDT61A/TR246Aで、牽引力は1本リンク式牽引装置に変更されています。枕バネは空気バネ、軸箱支持方式は軸梁式としています。動台車の動力伝達方式はCFRP製のたわみ板を用いたたわみ軸継手(TD継手)方式で、歯数比は7.07としています。基礎ブレーキ装置は動台車が車輪踏面片押し式、付随台車が車輪踏面片押し併用ディスク式です。
走行機器及び補機
主変換装置SC51はGTOサイリスタを使用した2ステップVVVFインバータ制御により、出力120kWの誘導電動機MT71を台車単位で4台制御しています。クハE126形の床下には、IGBTを使用した出力90kVAの補助電源装置SC52とレシプロ式電動空気圧縮機MH3108-C1200が、屋根上には下枠交差形パンタグラフPS30と発電ブレーキ用主抵抗器MR175が設置されています。空気ブレーキ装置は、閑散線区で回生ブレーキの失効対策として回生・発電ブレンディングブレーキ併用電気指令式空気ブレーキで、T車遅れ込め制御を取り入れています。
客室設備
客室設備はバケットタイプのロングシートで、座席端には袖仕切が設置されています。客室天井は冷房用ダクトを天井内に埋め込まれ、また冷風吹出口がスリット状になりました。運転室は半室構造で、ワンマン運転を考慮して低運転台構造としています。ワンマン運転時に使用する整理券発行機が出入口に、運賃表示器と運賃箱が運転席後部にそれぞれ設置されています。貫通扉はワンマン運転時の移動を容易にするため貫通路幅を1200mmとした両開き扉としています。クハE126形の後端部には洋式トイレが設置されており、循環式汚物処理装置が取り付けられています。また、トイレの向かい側は車椅子スペースとしています。
増備車
1995年11月に2両編成が7本増備されました。
廃車及び譲渡
2008年に発生した踏切事故による列車火災事故により、V3編成が廃車となりました。また、2015年の北陸新幹線長野-金沢間が開業したことにより、信越線妙高高原-直江津間が第3セクターのえちごトキめき鉄道に運営が移管されることに伴い、JR東日本が所有していたE127系10編成がえちごトキめき鉄道に譲渡され、型式がET127系に変更されました。ET127系の車体は沿線の妙高山をイメージしたフレッシュグリーンのシルエットを車体下部に塗装されています。
改造
JR東日本が保有する2編成の主変換装置が、2016年にIGBT素子を使用したSC102Aに更新されました。SC102Aは主電動機を台車単位で制御します。更に、ブレーキチョッパ動作時の誘導障害対策としてブレーキチョッパリアクトルIC132が追加されました。また、補助電源装置もIGBT素子を使用した定格出力210kVAのSC103Aに更新されました。
運用
E127系0番台は1995年5月より信越線の新潟-長岡間、羽越線の新発田-村上間、白新線、越後線、弥彦線の普通電車に使用されました。しかし、信越線の新潟-長岡間、羽越線の新発田-村上間、白新線、越後線の普通電車に使用されていたE127系0番台はE129系に置き換えられ、2015年以降は弥彦線のローカル輸送に使用されましたが、2022年3月に運用を離脱しました。 |
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