キハ187系10番台 0番台 10番台 500番台 形式一覧	キハ187系10番台特急「スーパーまつかぜ」 山陰線 安来-米子
	登場の背景と概要 鳥取県による山陰線鳥取-米子間の高速化事業実施に伴い、JR西日本はキハ187系振り子式特急形気動車を2003年に増備しました。その際、いくつかの改良を施したキハ187系10番台を開発しました。キハ187系10番台は車体後方にトイレが設置されているキハ187形10番台と喫煙室が設置されているキハ187形1010番台の2両編成で、これらの組み合わせにより3両編成や4両編成にすることができます。2003年に2両編成が2本製造されました。 車体 キハ187系10番台は幅2845mmの軽量ステンレス車体で、防音、防振を強化するため床構造がステンレスプレートと床敷物からなる総厚6.5mmから、キーストンプレート、床詰め物と床敷物からなる総厚26mmに変更されました。車体は無塗装で、窓周りをブルーその上下に黄色の細帯が配されています。前頭部は切妻の貫通型で、貫通扉の両側には上方に角形シールドビームを採用した前照灯と角形LEDを採用した尾灯を内側に設置した前面窓が設置されています。貫通扉には3色LEDの愛称表示装置が取り付けられています。前面窓下は高速化に伴う視認性確保のため黄色塗装、上半分はダークグレー塗装となっています。また、先頭部を除く車両間に転落防止幌が取り付けられました。車体側面には座席2列毎の大型固定窓と車体後ろ側に幅1000mmの片開き扉が設置され、押しボタンによる手動開閉が可能です。低重心化のため床面高さを1160mmとしたため、扉にステップは取り付けられていません。車体側面にはLED行先表示装置が設置されています。また屋根上には冷房能力向上のため冷媒にR407Cを採用した20000kcal/hのユニットクーラWAU707Aが2台取り付けられています。連結器は密着連結器で、分割併合を容易にするため全ての連結器に自動解結装置が取り付けられました。 台車 台車は振り子機能を備えた軽量ボルスタレス方式のWDT61Aで、振り子装置が取り付けられているため1軸駆動となっています。牽引力は1本リンクを介して伝達されます。枕バネは空気バネ、軸箱支持方式はコイルばね円筒積層ゴム併用方式とし、高速走行時の安定性確保のためヨーダンパが取り付けられており、空気バネ硬さの向上、左右動ダンパの減衰特性改善と取付位置変更により乗り心地を向上させました。振り子動作をスムーズにするため、急激な車体傾斜を防止する振り子制御用シリンダと転がり抵抗の小さいベアリングガイドを採用しており、振り子梁を受けるため側梁中央部が沈んだ構造としています。基礎ブレーキ装置は自動隙間調整装置を内蔵したユニット式の車輪踏面片押し式としています。 走行機器及び補機 機関はインタークーラと排気タービン過給機付き水平直列6気筒で出力450PSのSA6D140-H-1が2基取り付けられています。変速機は湿式多板クラッチを採用した1段3要素で直結4段のDW21です。機関冷却装置は小型化し床下に取り付けられています。キハ187系10番台はシステム構成を電車に合わせることでメンテナンスの低減を図ることを目的に、各機器の電気化、部品の共通化やベルトレス化を推進したため、走行用エンジンの1つに定速回転装置を介して接続された機関駆動式発電機WDM111より三相440Vを出力し、冷房装置や暖房装置に供給したり、単相100Vに降圧したり、直流100Vに整流することで制御回路や補助回路に供給されます。空気圧縮機は液体変速機に接続されたベルトレスのギヤ駆動式のWCW800です。キハ187系は引き通し配線量と制御リレーを減らすため、PLCを使用した伝送制御装置TICSを導入しています。空気ブレーキ装置は排気ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキで、排気ブレーキにより所定の制動力が維持できなくなった場合は、空気ブレーキを補足します。床下にはATS-SWが設置され、ATS-Pの取付準備工事が行われています。 客室設備 客室設備 座席は全てリクライニングシートを採用し、シートピッチは970mmで2-2列配置となっています。内装にはパネル工法を採用しました。窓枠や手摺には木質系材料が使用されています。各出入台上部にはドアチャイムが取り付けられています。キハ187形10番台の車体後方には真空式汚物処理装置を採用した車椅子対応大形トイレが、キハ187形1010番台の車体後方には喫煙室が設置されています。運転台は電車と同様の横軸2ハンドル式としています。 運用 キハ187系10番台は2003年10月に鳥取-新山口を結ぶ特急「スーパーおき」と鳥取-益田間を結ぶ特急「スーパーまつかぜ」で営業運転を開始しました。現在、キハ187系10番台はキハ187系0番台とともに特急「スーパーおき」と「スーパーまつかぜ」に使用されています。
	主要諸元 項目 内容 車両性能 最高速度: 120km/h 全長 20800mm 全幅 2845mm 全高 3440mm 台車 WDT61A 駆動機関 SA6D140-H-1 (450PS×2) 液体変速機形式 DW21 冷房装置 WAU707A (20,000kcal) 設計 JR西日本