701系5500番台

奥羽線赤湯-高畠

登場の背景と概要
1999年の山形新幹線新庄延伸開業に伴い、普通列車用車両の増備が必要となりました。そこで、JR東日本は1997年3月より田沢湖線で使用されている701系5000番台をベースにいくつかの改良を加えた701系5500番台を1999年に開発しました。701系5500番台は1M1Tの2両編成で、1999年に9編成が投入されました。

車体
701系5500番台は幅2888mmのビードレス狭幅軽量ステンレス車体で、プレスされた部材と外板を突き合わせそれ自体が強度を保っている、いわゆる2シート工法が採用されています。外板は無塗装で側面の窓下には橙色と緑色の帯、前面窓下に緑色の帯が配されました。先頭部は緑色に塗装された貫通扉が設置されており、運転席は低運転台構造です。シールドビームを採用した2灯の前照灯が貫通扉の上に、LEDを採用した尾灯が左右前面窓上に取り付けられています。また助手席上部にはLED式行先表示装置が取り付けられています。車体側面には幅1300mmのステップなし自動両開き扉が3カ所設置され、押しボタンによる手動開閉が可能です。戸閉装置は直動式のTK113Cで、鴨居部に取り付けられています。扉間には高さ960mmの4連窓、車端には固定窓が設置されており、扉間の4連窓のうち中央の2箇所は2段上段下降式となっています。なお、クハ700形5500番台のトイレ横は固定式の2連窓となっています。窓ガラスは熱線吸収ガラスを採用し、ブラインドを廃止しました。車体側面には駅で待つ乗客に車掌が案内放送をするためのスピーカとLED式行先表示装置が設置されました。屋根上には38,000kcal/hのユニットクーラAU723が1台設置されています。通風器は設置されていません。分割併合を容易にするため、先頭部には自動解結装置が取り付けられました。

台車
台車は軽量ボルスタレス方式の動台車がDT63A、付随台車がTR252で、牽引力は1本リンク式牽引装置です。枕バネは空気バネ、軸箱支持方式は軸梁式としています。動台車の動力伝達方式はCFRP製のたわみ板を用いたたわみ軸継手(TD継手)方式で、歯数比は7.07としています。基礎ブレーキ装置は動台車が車輪踏面片押し式、付随台車は踏面ブレーキを併用した1軸2枚のディスクブレーキとしています。

走行機器及び補機
主変換装置はIGBTを用いた3レベルPWMコンバータとパワートランジスタを用いた3レベルインバータで構成されるCI10で、出力125kWの誘導電動機MT65Aを台車単位で制御しています。クモハ701形5500番台の床下には、主変換装置、TM29主変圧器の他にSC49補助電源装置が、屋根上にはPS105形パンタグラフが設置されています。クハ700形の床下には電動空気圧縮機MH1112-C1600MFが設置されています。空気ブレーキ装置は回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキで、抑速ブレーキが使用可能です。

客室設備
客室設備はバケットタイプのロングシートで、座席端には袖仕切が設置されています。客室天井は冷房用ダクトを天井内に埋め込まれ、また冷風吹出口がスリット状になりました。運転室は半室構造で、ワンマン運転を考慮して低運転台構造としています。ワンマン運転時に使用する整理券発行機が連結面側の出入口脇に、運賃表示器と運賃箱が運転席後部にそれぞれ設置されています。貫通扉はワンマン運転時の移動を容易にするため貫通路幅を1200mmとした両開き扉としています。クハ700形5500番台の運転席後方には車椅子対応洋式トイレが設置されており、循環式汚物処理装置が取り付けられています。また、トイレの向かい側は車椅子スペースとしています。

運用
701系5500番台は山形電車区に投入され1999年12月より奥羽線山形-新庄間で営業運転を開始しました701系5500番台は現在、奥羽線米沢-新庄間の普通電車に使用されています。

主要諸元
項目	内容
電気方式	交流20000V, 50Hz
車両性能	最高速度: 110km/h
全長	19500mm
全幅	2800mm
全高	3620mm
台車	DT63A(動台車)　TR252(付随台車)
集電装置	PS105
主電動機	MT65A (125kW)
駆動装置	中実軸TD平行カルダン方式 (歯数比: 7.07)
主変圧器	TM29
制御方式	VVVFインバータ制御: CI10
冷房装置	AU723 (38,000kcal/h)
設計	JR東日本