登場の背景と概要
1984年より運行されている予土線で運行されているトロッコ列車「清流しまんと号」の増発のため、JR四国は従来の車両より定員を増やしたキクハ32形を1997年に開発しました。
車体
車体長15,800mm、幅2,800mmで、台車中心間距離を10,800mmとした片運転台の普通鋼製狭幅車体です。先頭車前頭部中央部に貫通扉を設置されています。貫通扉の左右に平面ガラスを採用した前面窓が取り付けられています。前面窓の下方にはシールドビームの前照灯とその下側に尾灯が取り付けられています。乗務員室用の開き戸は省略されており、運転席横に後方確認用の下降窓が設置されています。
運転席の直後には幅700mmのステップ付き折り戸が取り付けられています。扉の後方には3,015mm幅、1,200mm高さの開口部が設けられ、下半分には鉄製の柵が設置されています。長期間使用しないときは雨が開口部から侵入しないように塞ぎ板を取り付けることができます。塞ぎ板は床下に収納されています。
車体は緑色に塗装され、腰板にはShikoku Truck since 1997のロゴが配されています。
台車
キクハ32形の台車は廃車発生品のTR51Cで、枕バネにコイルバネを採用し、軸箱支持方式はウイングバネ式ペデスタル方式です。基礎ブレーキ装置は車輪踏面片押し式で、ブレーキシリンダは車体装荷となっています。
客室設備
客室設備はシートピッチ1570mmの木製ベンチで座席間にはテーブルが設置されています。天井中央部にはカバー付き白熱電球が取り付けられています。
増備
瀬戸大橋線の開業15周年イベントに合わせて運行された「瀬戸大橋トロッコ号」は非常に好評だったため、JR四国は2003年にキクハ32-502を製造しました。キクハ32-502はキクハ32-501に対していくつかの変更点があります。
・車体側面の開口部下の腰板部に幅600mm、高さ400mmのガラス窓が追加されました。
・車椅子スペースを運転席背後のドア脇に設けました。この部分の座席は跳ね上げ式となっています。
・車椅子対応のため折り戸幅が800mmに変更されました。
・瀬戸大橋走行中に車内から下に拡がる海を望むことができるように、左右それぞれ1座席区画の床にあわせ強化ガラスを使用した窓が設けられました。また、この区画の座席は跳ね上げ式となっています。
改造
キクハ32-501
「藍よしのがわトロッコ」を2020年に徳島線で運行する際に、車体塗装が藍色に変更されました。
キクハ32-502
2006年にリニューアルされ、車体塗装が青地に変更され、アンパンマンのキャラクターが描かれました。
運用
キクハ32-501は1997年よりキハ185形とともに「清流しまんと号」で運用を開始しました。その後、土讃線阿波池田-大歩危間を結ぶ「おおぼけトロッコ号」に使用されました。2017年からは土讃線高知-窪川間を結ぶ「幕末維新号」に使用されました。そして、2020年より徳島線徳島-阿波池田を結ぶ「藍よしのがわトロッコ」」に使用されています。
キクハ32-502は2003年より「瀬戸大橋トロッコ号」で運用を開始し、2006年より「瀬戸大橋アンパンマントロッコ号」に使用されています。 |
|
