E257系0番台

0番台
500番台

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中央線相模湖-高尾

登場の背景と概要
東京と甲府、松本、及び大糸線を結ぶ特急「あずさ」「かいじ」に使用されていた183系特急形電車の一部は、1994年にE351系に置き換えられましたが、JR東日本はこれらの特急列車に使用されている老朽化が進んだ183系を置き換えるため、E653系交直流特急電車やE751系交流特急形電車の基本に、E231系で採用されている新しい技術が導入したE257系0番台直流特急形電車を2001年に開発しました。E257系0番台は2001年に5M4Tの9両基本編成と1M1Tの2両付属編成がそれぞれ3編成製造されました。

車体
車体にはアルミ合金の中空押出型材を用いたダブルスキン構体を採用しました。この構造は外板、柱、内骨による構体と比べて溶接箇所の削減、車体剛性の向上に加え、形材にアリ溝を設けることで、機器や内装品を構体に直接取り付けることができるため、製造時工数削減に寄与しています。床にはゴム系弾性材料を採用し、車内静粛性を向上させました。先頭部はクハE257形0番台とクハE256形0番台は非貫通型、クハE257形100番台は貫通形を採用し、衝撃を吸収するクラッシャブルゾーンと構造を強化したサバイバルゾーンの構造区分から構成されています。非貫通型先頭部前面中央には横長のLED愛称表示装置が、表示装置の左右にHID灯とシールドビームの前照灯が、表示装置の上部にLED式尾灯がそれぞれ取り付けられています。一方、貫通型は貫通扉にLED愛称表示装置が、貫通扉の左右にHID灯とシールドビームの前照灯とLED式尾灯がそれぞれ取り付けられています。なお、クモハE257形には簡易運転台が設置されています。また、先頭部を除く車両間に転落防止幌が取り付けられました。車体側面にはグリーン席部は座席ごと、それ以外の車両は座席2列毎の紫外線カット複層ガラスを採用した高さ852mmの固定窓と900mm幅の片開き扉がクハE257形は2箇所、それ以外は1箇所取り付けられています。また、LED行先表示装置が車体側面に取り付けられています。床下には36,000kcal/hのAU302空調機が1台取り付けられています。分割併合を容易にするため、クハE257形100番台とクモハE257形0番台の先頭部には自動解結装置が、クモハE257形0番台には空気作動式ワンタッチ幌が取り付けられました。車体塗装は白とし、車体中央部付近に、桃色、碧色、黄色、青紫及び銀色の菱形模様のアクセントが配されています。

台車
台車は軽量ボルスタレス方式の動台車がDT64A、中間車の付随台車がTR249A、クハE256形の付随台車がTR249B、クハE257形がTR249Dで、牽引力は1本リンク式牽引装置で伝達されます。枕バネは空気バネ、軸箱支持方式は軸梁式とし、130km/h運転時の安定性確保のためヨーダンパを取り付けています。動台車の動力伝達方式はCFRP製のたわみ板を用いたたわみ軸継手(TD継手)方式で、歯数比は5.65としています。基礎ブレーキ装置は動台車が車輪踏面片押し式、付随台車は車輪踏面片押し併用ディスク式です。

走行機器及び補機
モハE257形0番台とモハE257形100番台の床下に取り付けられている主変換装置SC67はIGBTを使用した2ステップVVVFインバータ制御により、モハE256形0番台、あるいはモハE256形100番台を含めた8台の誘導電動機MT72A (出力145kW)を車両単位で制御しています。一方、モハE257形1000番台の床下に取り付けられているSC68は、自車の主電動機4台を制御します。また、クハE257形、クハE256形、及びサハE257形の床下にはスクリュ式電動空気圧縮機MH1322-C1400Sが取り付けられています。モハE256形の床下には出力210kVAのSC69補助電源装置が、クモハE257形の床下には出力110kVAのSC70補助電源装置がそれぞれ取り付けられています。また、モハE257形とクモハE257形の屋根上にはシングルアーム式集電装置PS36が1台、床下にはブレーキ抵抗器が設置されています。空気ブレーキ装置は、閑散線区で回生ブレーキの失効対策のためTIMSにより制御される回生・発電ブレンディングブレーキ併用電気指令式空気ブレーキで、T車遅れ込め制御を取り入れています。先頭車の床下にはATS-PとATS-SNが取り付けられています。

客室設備
座席は全てリクライニングシートを採用し、シートピッチはグリーン車が1160mmで2-2列配置、普通車が960mmで2-2列配置となっています。座席のモケットは菱形のパターンが用いられています。グリーン車は落ち着いた木目調の内装材や床にカーペットが採用されました。客室仕切壁、車掌室、トイレ等の壁は天井に対して一定の隙間が設けられており、客室と出入台との間の空気の流れをスムーズにすることで、車両全体の空調が適切となるようにしています。空調吹出口は荷棚の下部先端に取り付けられ、横向きに吹き出すようになっています。照明は蛍光灯による間接照明です。座席肩には手摺りが取り付けられました。車内仕切扉は、ファイバセンサ検知式の自動扉です。客室とデッキを仕切る扉の上部にLED式車内案内表示器が設置されました。クハE257形、モハE256形、サハE257形及びサロハE257形には真空式洋式トイレ、小便所、及び洗面所が設置されており、サハE257形のトイレは車椅子対応となっています。なお、車椅子対応トイレには折りたたみ式おむつ交換台が、それ以外のトイレには折りたたみ式ベビーチェアが設置されています。サハE257形は車販準備室と多目的室、サロハE257形は車掌室が、モハ257形100番台にはフリースペースが設置されています。運転席は左手ワンハンドルマスコン方式を採用しました。

増備車
JR東日本は2002年3月に5本の基本編成を、2002年7月に5本の基本編成と1本の付属編成が投入されました。最後に2002年12月に3本の基本編成と1本の付属編成が投入され、183/189系の置換えが完了しました。

改造・廃車
E353系の特急「あずさ」、「かいじ」への投入により余剰となったE257系0番台のうち、基本編成は特急「踊り子」に使用するため2019年から2021年にかけて全車2000番台あるいは5000番台に改造されました。付属編成は2020年に全て廃車となりました。

運用
E257系は2001年3月に特急「あずさ」3往復で営業運転を開始しました。引き続き2002年3月に特急「かいじ」が完全に置き換えられました。2002年12月には残存する183/189系を置換え、特急「あずさ」も全てE257系で運転されるようになりました。しかし、2017年12月に特急「あずさ」4往復がE353系に置き換えられ、2021年にはE257系0番台は全ての運用から離脱しました。

主要諸元
項目	内容
電気方式	直流1500V
車両性能	最高速度: 130km/h
全長	20000mm
全幅	2946mm
全高	3760mm
台車	DT64A(動台車)　TR249(付随台車)
集電装置	PS36
主電動機	MT72A(145kW)
駆動装置	中実軸TD平行カルダン方式 (歯数比: 5.65)
制御方式	VVVFインバータ個別制御 (SC67, SC68)
冷房装置	AU302 (36000kcal/h×1)
設計	JR東日本