キハ58系0番台
登場の背景と概要
キハ55系の準急が運転を開始し客車列車と比べて所要時間の短縮や居住性の改善が図られたことから、国鉄は1960年に登場したキハ80系に続いて、客車列車で運行されていた急行列車を気動車に切り換えることを計画したが、キハ55系は客車と比べて接客設備で見劣りすることから、国鉄はキハ55系と同等の走行性能をもちつつ急行列車用としての居住性をもったキハ58系を1961年に開発しました。
車体
幅2903mmの広幅車体を持つ普通鋼製で、車体外板と屋根板は板厚1.6mm、先頭部は板厚3.2mmの鋼板を使用し、客室床は防音・防振対策として二重構造を採用しました。先頭車前頭部は中央部に貫通扉を設置し、踏切事故対策と前方視認性向上のため床面を300mm高くした高運転台を採用しました。コストダウンのため前面窓は平面窓としました。貫通扉上には種別表示幕が、左右前面窓上にはシールドビームを採用した前照灯が、下部には尾灯とタイフォンが取り付けられています。1等車の車端部に幅850mmの片開き扉が2箇所設置され、扉間には幅925mmの2連式下降窓が配されています。2等車の車端部には幅850mmの片開き扉が2箇所設置され、扉間には幅1070mmの一段上昇窓が取り付けられています。戸閉装置は閉動作が自動で開動作は半自動のTK101Aが側扉鴨居に取り付けられています。屋根上には押込形通風器が設置されています。また、キハ58形は後位出入口屋根上に水タンクが設置されています。走行機関の排気管はキロ28形が車掌室内、キハ28形が乗務員室内、キハ58形が乗務員室内と洗面所内に設置されました。連結器は密着式自動連結器で、ゴム緩衝器RD3が使用されています。車体塗装はクリーム色で、窓周りと車体裾部に朱色の帯を配しました。
台車
台車は動台車がDT22A、付随台車がTR51Aで、枕バネにコイルバネを採用し、軸箱支持方式はウイングバネ式ペデスタル方式です。動台車の歯数比は2.976としました。基礎ブレーキ装置は片押式踏面ブレーキとしています。
走行機器及び補機
クランク室を一体形とした出力が180PSのDMH17H横型機関がキロ28形とキハ28形に1台、キハ58形に2台、車体に対して防振ゴムを介して取り付けられています。液体変速機は乾式単板クラッチを採用した3段6要素のリスホルム・スミス式の振興造機製TC2Aと、湿式多板クラッチを採用した新潟コンバータ製DF115Aで、コンバータオイルが従来の軽油から、トルクコンバータ油に変更されました。TC2AとDF115Aは交換を容易にするため、放熱用油回路の車体との接続位置、電磁弁箱が共通化されています。キハ58形の床下には機関により駆動される2台のC400空気圧縮機が、キロ28形とキハ28形の床下には機関により駆動される1台のC600空気圧縮機が取り付けられています。ブレーキはDA空気ブレーキ装置です。
客室設備
客室設備は1等車がシートピッチ1160mmで2-2列配置のR22形リクライニングシート、2等車がシートピッチ1470mmで2-2列配置のクロスシートで、背もたれ肩に取っ手が取り付けられています。1等車の座席のモケットは赤色、2等車は青色です。キロ28形の前側出入口の客室側に車掌室が、後側出入口の客室側には和式トイレと洗面所が設置されています。一方、普通車は後側出入口の客室側には和式トイレと洗面所が設置されています。天井下には扇風機が7個取り付けられています。
キハ58系400番台
登場の背景と概要
気動車急行は複数列車の併結や輸送力増強のため編成両数が増加傾向となり、ジャンパ線の電圧降下やブレーキ作動時間の増加が問題となりました。そこで国鉄はキハ58系400番台を1963年に開発しました。キハ58系400番台はキロ28形100番台、キハ28形300番台、及びキハ58形400番台で構成されます。
車体
幅2903mmの広幅車体を持つ普通鋼製で、車体外板と屋根板は板厚1.6mm、先頭部は板厚3.2mmの鋼板を使用し、客室床は防音・防振対策として二重構造を採用しました。先頭車前頭部は中央部に貫通扉を設置し、踏切事故対策と前方視認性向上のため床面を300mm高くした高運転台を採用しました。コストダウンのため前面窓は平面窓としました。貫通扉上には種別表示幕が、左右前面窓上にはシールドビームを採用した前照灯が、下部には尾灯とタイフォンが取り付けられています。1等車の車端部に幅850mmの片開き扉が2箇所設置され、扉間には幅925mmの2連式下降窓が配されています。2等車の車端部には幅850mmの片開き扉が2箇所設置され、扉間には幅1070mmの一段上昇窓が取り付けられています。側扉の下部に直径100mmの丸窓を追加し、暗いホームで車外からステップの位置をわかりやすくしました。戸閉装置は手動で扉を閉めることができる自動開閉式のTK102が側扉鴨居に取り付けられています。屋根上には押込形通風器が設置されています。また、キハ58形は後位出入口屋根上に水タンクが設置されています。走行機関の排気管はキロ28形が車掌室内、キハ28形が乗務員室内、キハ58形が乗務員室内と洗面所内に設置されました。連結器は密着式自動連結器で、ゴム緩衝器RD3が使用されています。車体塗装はクリーム色で、窓周りと車体裾部に朱色の帯を配しました。
台車
台車は動台車がDT22A、付随台車がTR51Aで、枕バネにコイルバネを採用し、軸箱支持方式はウイングバネ式ペデスタル方式です。動台車の歯数比は2.976としました。基礎ブレーキ装置は片押式踏面ブレーキとしています。
走行機器及び補機
クランク室を一体形とした出力が180PSのDMH17H横型機関がキロ28形とキハ28形に1台、キハ58形に2台、車体に対して防振ゴムを介して取り付けられています。液体変速機は乾式単板クラッチを採用した3段6要素のリスホルム・スミス式の振興造機製TC2Aと、湿式多板クラッチを採用した新潟コンバータ製DF115Aで、コンバータオイルが従来の軽油から、トルクコンバータ油に変更されました。TC2AとDF115Aは交換を容易にするため、放熱用油回路の車体との接続位置、電磁弁箱が共通化されています。キハ58形の床下には機関により駆動される2台のC400空気圧縮機が、キロ28形とキハ28形の床下には機関により駆動される1台のC600空気圧縮機が取り付けられています。引通し線に補助継電器を接続し、自車電源により電磁弁を動作させることにより引通し線の電流容量を低減させて電圧降下を防ぎました。また、DAブレーキ装置に電気制御回路を追加したDAEブレーキに変更し、各車同時にブレーキが作用するようにし、ブレーキ制御用KE67ジャンパ連結器を追加しました。
客室設備
客室設備は1等車がシートピッチ1160mmで2-2列配置のR22T形リクライニングシート、2等車がシートピッチ1470mmで2-2列配置のクロスシートで、背もたれ肩に取手が取り付けられています。1等車の座席のモケットは赤色、2等車は青色です。客室の照明がトランジスタインバータを用いた蛍光灯が採用されています。キロ28形の前側出入口の客室側に車掌室が、後側出入口の客室側には和式トイレと洗面所が設置されています。一方、普通車は後側出入口の客室側には和式トイレと洗面所が設置されています。天井下には扇風機が7個取り付けられています。
増備車
1963年5月に製造されたキロ28 109より冷房準備工事が行われ、屋根上に4,000kcal/hのユニットクーラAU12を取り付けるため天蓋が屋根上に6箇所取り付けられました。また、屋根上の通風器の取り付けが廃止され、代わりに強制通風装置が取り付けられました。勾配が続く中央東線を走行する急行「アルプス」は機関出力に余裕がないことから、2エンジンの1等車キロ58形が登場しました。キロ58形の後位出入口屋根上に水タンクが設置されています。
1963年9月に製造された車両から、台車がDT22C/TR52Bに変更しました。
1964年2月に製造された車両から、タイフォンに耐雪シャッタが取り付けられました。
1964年3月に製造されたキハ58形から機関ブレーキが追加されました。
1964年5月に製造されたキロ28 129から屋根上に5,500kcal/hのユニットクーラAU13が6台、床下に43PSの4DQ-11P機関と出力25kVAのDM72A発電機を組み合わせた電源装置が取り付けられ、屋根上にユニットクーラを設置するため屋根高さが60mm下げられました。なお、1964年9月から翌年1月にかけて製造されたキロ28 145, 146, 153, 154はAU13冷房準備工事が実施されました。
1965年11月以降に製造されたキハ28形とキハ58形の出入口部屋根上に通風器が追加設置されました。
1966年9月以降に製造された車両から連結装置の緩衝装置がRD13に変更されました。
改造
国鉄
キロ28形BAU102冷房改造
キロ28 26, 53, 54, 62, 65に対して三菱重工製の19,000kcal/hのバス用ユニットクーラBAU102を取り付ける改造が、1963年6月から翌年4月にかけて小倉工場で行われました。19PSの駆動機関、コンプレッサ、及びコンデンサがユニット化された室外機が床下に、室内機が出入口屋根上に設置されました。
キロ28形冷房準備工事車AU12冷房改造
ユニットクーラの取り付け準備工事が行われているキロ28 109と110に対して4,000kcal/hのAU12を屋根上に6個、床下に43PSの4DQ-11P三菱重工製駆動機関、及び出力25kVAのDM72発電機を取り付ける改造が1963年に実施されました。これに伴い、強制通風装置が取り付けられ、屋根上の通風器が撤去されました。なお、冷房能力が不足したため空調機の能力を5,500kcalに増強しましたが、ユニットクーラは1971年までにAU13に取り替えられました。
キロ28形非冷房車AU13冷房改造
キロ28 109と110に取り付けられたAU12ユニットクーラは冷房能力が不充分であったため、キロ28形の屋根上に急行形気動車用に開発された5,500kcal/hのAU13を6個、床下に43PSの4DQ-11P三菱重工製駆動機関、及び小型軽量化した出力25kVAのDM72Aを床下に取り付ける改造が1965年から1968年にかけて実施されました。これに伴い、押込形通風器が2列配置に変更されました。なお、非冷房車は屋根高さが冷房準備工事車より60mm高いことから、ユニットクーラを屋根より若干低い位置に設置し、ドレン排水は天井裏から雨樋に流しました。
キロ28形冷房準備工事車AU13冷房改造
キロ28形の屋根上に急行形気動車用に開発された5,500kcal/hのAU13ユニットクーラを6個、床下に43PSの4DQ-11P三菱重工製駆動機関、及び小型軽量化した出力25kVAのDM72Aを床下に取り付ける改造が1966年から1968年にかけて実施されました。このうちキロ28 145, 146, 153, 154はAU13ユニットクーラの冷房準備工事車で屋根高さが60mm低いためドレン排水は屋根上に直接流しますが、AU12ユニットクーラの冷房準備工事車はユニットクーラを屋根より若干低い位置に設置し、ドレン排水は天井裏から雨樋に流しました。
キロ58形冷房改造
キロ58形の屋根上に急行形気動車用に開発された5,500kcal/hのAU13ユニットクーラを6個取り付ける改造が1968年に実施されました。これに伴い、押込形通風器が2列配置に変更されました。なお、キロ28形のAU13冷房準備工事車より屋根高さが60mm高いことから、ユニットクーラを屋根より若干低い位置に設置し、ドレン排水は天井裏から雨樋に流しました。
キロ28形発電ユニットの更新
キロ28形の冷房用発電装置は自車しか給電しかできないことから、1975年から1982年にかけて3両に給電可能な90PSの4VK機関と70kVAのDM83発電機を組み合わせた電源装置に取り替えられ、キロ28形2000/2100番台に区分しました。
キロ28/キロ58形冷房用ジャンパ線追加工事
キロ28/キロ58の車端への冷房電源用KE8A、KE53Cジャンパ線の取り付けが1968年から1973年にかけて実施されました。
キハ58形簡易冷房改造
山陰地区及び四国で指定席車に使用されているキハ58形を冷房化するため、屋根上に5,500kcal/hのAU13ユニットクーラを3個取り付け、隣に連結されたキロ28の2個のユニットクーラを停止することで発生した冷房用電力を給電した。これらは標準化のため屋根上へのAU13ユニットクーラの4個追加取り付け、及び車端への冷房電源用KE8A、KE53Cジャンパ線の取り付けが1969年から1973年にかけて実施されました。
キハ28形2000番台/2300番台
キハ28形0番台/300番台に対して1968年から1978年にかけて7台のAU13ユニットクーラを屋根上に、90PSの4VK機関と70kVAのDM83発電機を組み合わせた電源装置を床下に、冷房電源用KE8A、KE53Cジャンパ線を車端に取り付ける改造が実施され、キハ28形2000番台/2300番台に区分されました。これに伴い、押込形通風器が2列配置に変更されました。なお、キハ28形500番台/1000番台/1500番台のAU13冷房準備工事車より屋根高さが60mm高いことから、ユニットクーラを屋根より若干低い位置に設置し、ドレン排水は天井裏から雨樋に流しました。
房総地区や常磐線では勾配がなく、キハ58形が殆ど使用されていなかったことから、一部の車両は床下に電源装置が取り付けられませんでした。このうち、後年他線区に転用された車両に対して電源装置を取り付ける改造が1975年から1979年にかけて実施されました。
キハ58形0番台/400番台冷房改造
キハ58形0番台/400番台に対して1968年から1979年にかけてAU13ユニットクーラを屋根上に、及び冷房電源用KE8A、KE53Cジャンパ線を車端に取り付ける改造が実施されました。これに伴い、押込形通風器が2列配置に変更されました。なお、キハ58形1100番台/1500番台のAU13冷房準備工事車より屋根高さが60mm高いことから、ユニットクーラを屋根より若干低い位置に設置し、ドレン排水は天井裏から雨樋に流しました。
キハ58系0番台改造
気動車急行は複数列車の併結や輸送力増強のため編成両数が増加傾向となり、ジャンパ線の電圧降下やブレーキ作動時間の増加する問題が生じたため、DAブレーキ装置に電気制御回路を追加したDAEブレーキに変更し、各車同時にブレーキが作用するようにし、ブレーキ制御用KE67ジャンパ連結器を追加しました。また、戸閉装置は手動で扉を閉めることができる自動開閉式のTK102に変更されました。
台車更新
キハ80系の台車標準化により発生したDT27/TR67によりキハ58系の一部車両の台車が置き換えられました。キハ58系より発生したDT22/TR61はキハ20系に使用されていたDT19/TR47を置き換えました。
汚物処理装置
和式トイレに循環式汚物処理装置を取り付ける改造が1974年以降に一部の車両に対して実施されました。
キロハ28形0番台
高徳線の急行「阿波」にグリーン車が連結されることとなったが需要が小さいことから、1975年にキロ28 156の客室中央に仕切壁と開戸が設置され、後位側のリクライニングシートをシートピッチ1667mmのクロスシートに変更し、キロハ28 1に区分しました。
前面強化工事
踏切事故の際に乗務員を保護するため、前面腰部に4.5mm厚の鋼板を溶接する改造が1975年以降に実施されました。
キロ28形ユニット窓改造
キロ28形で採用された下降窓は雨水が浸入しやすく外板の腐食が深刻となったため、一部の車両が1979年より上段下降・下段上昇ユニット窓に改造されました。
キハ28形5000番台
四国で使用されていたキロ28形0番台を1980年10月から11月にかけて普通車指定席にするためキハ28形5000番台に区分しました。このうち、キハ28 5014〜5018 については1980年12月から1982年11月にかけて床下の4DQ-11P冷房用発電機関が4VK機関に、DM72A発電機がDM83に置き換えられ、キハ28 5204〜5209に改番されました。
キハ28形5200番台
四国と九州で使用されていたキロ28形2000番台を1980年10月から1985年12月にかけて普通車指定席にするためキハ28形5200番台に区分しました。
キハ28形5301
キロハ28 1を1980年11月に普通車指定席にするためキハ28 5301に区分しました。
特別保全工事
国鉄は車両寿命延伸を図るため特別保全工事が1981年から実施され、車体裾部と雨樋の加修、客室、トイレ、洗面所化粧板と床鋼板の更新が行われました。
キハ58形5000番台
急行「火の山」の指定席車に使用されていたキハ58形の座席が1985年2月から3月にかけてシートピッチ1150mmで2-2列配置のR22あるいはR24形リクライニングシートに取り替えられ、キハ58形5000番台に区分されました。
キハ53形200番台
勾配線区でかつ降雪線区である陸羽東線で使用されていたキハ58系で経費削減対策として単車運転をするため、キハ58の後位車端を切断し、代わりにキハ28形とキハ58形の先頭部を溶接し、客室後位側に水タンク室と和式トイレを設置する改造が1987年2月から3月にかけて実施され、キハ53形200番台に区分されました。
キハ58系0番台/400番台排障器取付改造
四国と九州で使用されているキハ58系の一部に排障器を取り付ける改造が実施されました。
JR東日本
セミクロスシート改造
長野、盛岡地区で使用されていたキハ28形4両とキハ58形16両に対して、ラッシュ時間帯の混雑に対応するため出入口付近の座席をロングシートに変更する改造が1988年から1993年にかけて実施されました。
機関更新工事
JR東日本では1988年1月にDMH17に代わる更新用機関の試験を開始しましたが、その直後にキハ58系の火災事故が発生したことから、1989年9月より機関更新工事が開始されました。更新機関は300PSのコマツ製のDMF11HZ、新潟製のDMF13HZ、及びカミンズ製のDMF14HZの3種類で、液体変速機や推進軸は既設流用のため出力250PSとしました。
気動車車両更新工事
車両の延命や車内アコモ改善のため、車体外板、屋根鋼板および雨樋の更新、客室化粧板の更新、客室や出入台の床を鋼板製に変更し、出入口付近の座席をロングシートに変更する改造が1990年より開始されました。
JR東海
キハ58形3000番台
急行「かすが」に使用されているキハ58 714の座席が0系新幹線電車の廃車発生品であるD23回転簡易リクライニングシートに取り替える改造が1989年に実施され、キハ58形5000番台に区分されました。その後、快速「みえ」用スピードアップ改造車がキハ58形5000番台に区分されたため、キハ58形3000番台に区分変更されました。
キハ58形5000番台
1991年1月から5月にかけて名古屋-鳥羽を結ぶ快速「みえ」のスピードアップのため最高速度を110km/hとするため、機関を350PSのカミンズ製C-DMF14HZCに、液体変速機をC-DW14Aに、台車をキハ80系廃車発生品のC-DT31Cに変更し、ブレーキには応荷重装置が取り付けられました。また、車内アコモ改善のため、座席を系新幹線電車の廃車発生品であるD23回転簡易リクライニングシートに変更し、化粧板が更新されました。
JR西日本
延命N工事、延命NA工事
車両機能に重点を置いた特別保全工事内容に加えて、アコモデーションを改善する延命N工事と、特別保全工事施工車に対してアコモ改善を実施した延命NA工事が1990年から実施されました。
キハ53形1000番台
七尾線で使用されていたキハ58系でフリークエンシー向上のため単車運転をするため、キハ58の後位車端を切断し、代わりに廃車となったキハ28形とキハ58形の先頭部を溶接する改造が1987年12月から翌年3月にかけて実施され、キハ53形1000番台に区分されました。
キロ28 6002
大阪-飛騨古川を結ぶ急行「たかやま」の旅客サービス向上のため、キロ28 2162の座席モケットと内装材の取り替えル改造が1991年3月に実施され、キロ28 6002に区分されました。また、上部がアイボリー、車体下部をピンクとし、境界部に青帯を配した車体塗装に変更されました。
キハ58形6000番台
大阪-飛騨古川を結ぶ急行「たかやま」の旅客サービス向上のため、キハ58形400番台の座席がR51リクライニングシートに変更され、シートピッチは910mmで2-2列配置とされました。従来の温水式暖房器のかわりに座席下に電気温風暖房が取り付けられました。また、客室化粧板の取り替えやトイレや洗面所の便器、洗面台、及び化粧板が取り替えられました。車体塗装は上部がアイボリー、車体下部をピンクとし、境界部に青帯を配しました。
ワンマン化改造
小浜線、舞鶴線、氷見線、城端線、及び関西線でのワンマン運転開始に伴い、ワンマン運転時に使用する整理券発行機を連結面側の出入口脇に、運賃表示器と運賃箱を運転席後部にそれぞれ設置する改造が1989年12月から1992年1月にかけて実施されました。
キハ28形5500番台
1992年3月に播但線の客車列車を全廃するため、七尾線電化により余剰となったキハ28形2000番台/2300番台15両を転用する際にラッシュ時の乗降をスムーズにするためロングシートへの改造が1991年12月から1992年3月にかけて実施され、キハ28形5500番台に区分されました。
キハ58形5500番台
1992年3月に播但線の客車列車を全廃するため、七尾線電化により余剰となったキハ58形0番台/400番台16両を転用する際にラッシュ時の乗降をスムーズにするためロングシートへの改造が1991年12月から1992年3月にかけて実施され、キハ58形5500番台に区分されました。
キハ58形7200番台
急行「丹後」の旅客サービス向上のため、1992年2月から翌年3月にかけてキハ58形0番台/400番台の座席を0系新幹線電車の廃車発生品であるD23回転簡易リクライニングシートに変更し、シートピッチは940mmで2-2列配置とされました。また、客室化粧板の取り替えやトイレや洗面所の便器、洗面台、及び化粧板の取り替えが実施され、キハ58形7200番台に区分されました。更に、急行「砂丘」に使用されていたキハ58形も1992年9月から翌年5月にかけて改造が実施され、車体塗装は上部がアイボリー、車体下部を水色とし、境界部に紫帯を配しました。
通風器撤去
経年対策のため屋根上の通風器が撤去されました。
JR四国
キハ58形回転クロスシート改造
14両のキハ58形0番台/400番台の座席をキハ181系から転用されたT17KD回転クロスシートに変更する改造が1986年12月から翌年6月にかけて実施されました。
セミクロスシート改造
キハ28形2000番台/2300番台15両とキハ58形0番台/400番台23両に対して、ラッシュ時間帯の混雑に対応するため出入口と客室の仕切壁、及びトイレ、洗面所の撤去、客室両端の座席をロングシートに変更する改造が1990年に実施されました。
JR九州
セミクロスシート改造
キハ28形2000番台/2300番台5両とキハ58形0番台/400番台29両に対して、ラッシュ時間帯の混雑に対応するため出入口と客室の仕切壁、及び洗面所の撤去、客室両端の座席をロングシートに変更する改造が1988年に実施されました。
ワンマン化改造
ワンマン運転開始に伴い、ワンマン運転時に使用する整理券発行機を連結面側の出入口脇に、運賃表示器と運賃箱を運転席後部にそれぞれ設置する改造が1991年11月から1999年3月にかけてキハ28形2000番台/2300番台18両とキハ58形0番台/400番台19両に対して実施されました。
通風器撤去
経年対策のため屋根上の通風器が撤去されました。
運用
キハ58系0番台は1961年10月に新宿-松本を結ぶ急行「アルプス」で営業運転を開始し、その後北海道を除く全国各地の非電化区間を走る急行列車に使用されました。しかし、電化の進展と特急への格上げが進んだため気動車急行は減少傾向となり、1982年の東北・上越新幹線開業に伴い、東北、上信越方面の急行列車は廃止されました。余剰となったキハ58系は普通列車に使用されていたキハ20系やキハ55系を置き換えました。
1987年の国鉄分割民営化に伴い、キハ58系0番台はJR東日本に284両、JR東海に91両、JR西日本に295両、JR四国に126両、そしてJR九州に178両が継承されました。
JR東日本では東北や信越地区の普通列車に使用されていましたが、キハ100形、キハ110系、キハE120形、キハE130系により置換えが進められ、2009年に営業列車での運行を終了しました。
JR東海では高山線、紀勢線、武豊線の普通列車の他、急行「かすが」、「のりくら」や快速「みえ」に使用されていましたが、キハ75形により置き換えられ2001年に営業列車での運行を終了しました。
JR西日本では急行「たかやま」、「わかさ」、「丹後」、「但馬」、「みまさか」、「みささ」、「砂丘」、「みよし」、「さんべ」、「ちどり」、「たいしゃく」、「ながと」などに使用されたほか、各地の普通列車に使用されました。しかし、急行列車の廃止や電化の進展、キハ120形やキハ126系、キハ187系への置換えにより2010年に営業列車での運行が終了しました。
JR四国では急行「いよ」、「うわじま」、「土佐」、「あしずり」、「阿波」、「むろと」、「よしの川」の他、普通列車に使用されました。しかし、特急への格上げによるキハ185系や2000系への置き換え、普通列車の1000形や1500形への置換えにより2008年に営業列車での運行を終了しました。
JR九州では急行「火の山」、「くまがわ」、「えびの」の他、普通列車に使用されましたが、特急への格上げやキハ200系への置換えにより2007年に営業列車での運行を終了しました。 |
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