DF200 0番台

DF2000番台

0番台
100番台

形式一覧

室蘭線　幌別-富浦

試作車 (900番台)
登場の背景と概要
非電化区間の主力機関車DD51形は出力2200PS、最高速度95km/hという性能のため、高速化した旅客列車との所要時間の差が大きくなり、ダイヤ構成が難しくなってきていました。特に、五稜郭-札幌間のDD51重連運転の貨物列車が大きなネックとなっていました。そこで、JR貨物は最高速度110km/hで高加速性能をもつ高出力機関車の開発を1990年に開始しました。そして、1992年にBo-Bo-Bo軸配置の電気式ディーゼル機関車試作機DF200形900番台を開発しました。

車体
車体は両端に運転台を持つ普通鋼製の箱形形状で、外板には腐食防止のため耐候性鋼板が用いられています。車体内の機器の着脱を考慮して、屋根板は取り外し可能な構造としています。重連運転を想定していないため前面はくの字をした非貫通構造で、前面窓の上に角形の前照灯が4灯、前面窓下の左右には尾灯が取り付けられています。乗務員用の開き戸は運転席助手席側側面と機械室の中央寄りにそれぞれ取り付けられています。運転室は耐寒対策として気密対策と暖房能力を強化しています。
車体内部は3分割されており、中央の部屋にはエンジン冷却水の冷却装置、その両隣にはエンジン、主発電機、主変換装置、補助電源装置が取り付けられています。そのため、車体中央部屋根上に放熱ファン、側面には放熱フィン、その前後に電気機器室換気用の鎧戸が取り付けられています。床下の台車間には燃料タンク、空気タンク及び発電ブレーキ用抵抗器が取り付けられています。ブレーキ用抵抗器には停留時の雪の侵入防止のため、シャッタが取りつけられています。車体塗装は濃淡グレーと朱色の組み合わせで、車体側面には"INVERTER HIGH TECH LOCO"ロゴが描かれています。

台車
台車は軽量ボルスタレス方式の両端用がFDT100、中間用がFDT101で、牽引力は低心皿Zリンク式牽引装置を介して伝達されます。枕バネは空気バネ、軸箱支持方式は軸梁式とし、110km/h運転時の安定性確保のためヨーダンパを取り付けています。空気バネの凍結防止のため、ゴム製のカバーが取り付けられました。基礎ブレーキ装置は焼結合金製の制輪子を採用した車輪踏面片押し式です。駆動装置は1段減速吊掛式で、主電動機の車軸支え部にコロ軸受けを採用することで、歯車噛合精度の向上、メンテナンスフリー化、及び軸受焼損防止を図っています。

走行機器及び補機
機関は小型軽量、高出力のドイツMTU社製 12V396TE14を2台搭載しています。12V396TE14はインタークーラ及び排気過給機付き直噴式水冷4サイクル12気筒V形エンジンで出力は1700PSです。このエンジンは冷却水回路がエンジン本体を良好な燃焼効率になるように冷却する主回路と定格出力が得られるように吸気を冷却するインタークーラ回路に分かれており、出力の増大を可能にしています。また、過給機は低回転領域から動作する系統と高回転領域のみ動作する系統をもつことで、常に良好な燃焼が得られるようになっています。
主発電機は東芝製の自己通風冷却式を採用した出力1550kVAの回転界磁式ブラシレス同期発電機FDM301が2台取り付けられています。主発電機で発生した三相交流電源はダイオードを用いた三相全波整流器で直流に変換し、PWM制御を採用した3台のGTOサイリスタを用いたインバータ制御装置FMPU100により、出力320kWの三相誘導電動機FMT100を個別制御します。
機関車本体の単弁は発電ブレーキ併用電気指令式ブレーキで、列車のブレーキ指令を行う自弁はノッチ指令に基づいてブレーキ管圧力を減圧する自動ブレーキを採用しています。

量産車(0番台)
登場の背景と概要
DF200形900番台の性能確認を踏まえ、1994年に量産型の0番台が3両製造されました。

車体
900番台と比べていくつかの変更点が加えられました。前面窓の上にあった前照灯のうち2灯が尾灯の横に移設されました。また、車体側面の"INVERTER HIGH TECH LOCO"ロゴの代わりに赤紫色のJRFロゴが配されました。

増備車
DF200形0番台は1996年から1998年にかけて9両が製造されました。このうち1998年に製造された車両はスカートの塗装色が灰色に変更されました。また、JRFロゴが白色に変更されました。

運用
1992年4月から5月中旬、及び7月下旬から8月中旬にかけて走行安定性、牽引性能、ブレーキ性能、及び誘導障害等の性能試験を実施、更に1993年1月に冬期のブレーキ試験を実施し、1993年3月から五稜郭-札幌間で営業運転を開始しました。量産機が導入されると、札幌-帯広間での営業運転も開始しました。2008年には根室線の釧路、及び宗谷線の北旭川まで運用が拡大しました。更に、2014年には石北線の新旭川-北見間に営業運転区間が拡大しDD51形を置き換えました。
DF200形0番台は現在、室蘭線、函館線、根室線、石北線の貨物列車牽引に使用されています。また、DF200形900番台は函館貨物駅構内での入換に使用されています。

主要諸元 (0番台)
項目	内容
動力伝達方式	電気式
車両性能	最高速度: 110km/h
車両出力	3,400PS
全長	19,600mm
全幅	2,944mm
重量	96.0t
台車	FDT100 (両端), FDT101 (中間)
軸配置	B₀-B₀-B₀
機関	12V396TE14 (1700PS/1800rpm)
発電機	FDM300 (1550kVA/1800rpm)
主電動機	FMT100 (320kW)
主変換装置	FMPU100
駆動装置	1段歯車減速吊掛式(歯数比:4.27)
設計	JR貨物