EF5100番台 0番台 500番台 形式一覧 EF510-1 量産先行車 山陽線 三石-上郡 EF510-12 北陸線 芦原温泉-丸岡	山陽線 有年-相生
	登場の背景と概要 直流1500Vと交流20kV 50Hzおよび60Hzの3種類の電源方式が混在する日本海循環線(奥羽、羽越、信越、北陸、湖西線)の貨物列車の牽引に使用されているEF81形交直流電気機関車の老朽化が進んでいることから、JR貨物は次世代交直流電気機関車EF510形の先行量産機を2002年に開発しました。EF510形の軸配置はBo-Bo-Boで運転整備重量は100.8tです。 車体 EF510形は両端に高運転台を持つ耐候性鋼板を使用した普通鋼製の箱形形状で、外板には腐食防止のため耐候性鋼板が用いられています。前頭部はくの字をした非貫通で、前面窓の上に角形の前照灯が2灯、前面窓下の左右には前照灯と尾灯が取り付けられています。塩害及び氷雪から交流機器を保護するため、屋根上には2台のシングルアーム式FPS5形集電装置と保護設置スイッチのみが取り付けられ、断路器、遮断器や主ヒューズなどの特別高圧機器は車内に設置されています。車体中央には機器室が設置され、機器室内は車体片側に通路が設置され、車体中央付近で通路の位置が反対側に入れ替わるZ形通路配置としています。このため、車体側面は向かって左側に採光窓、右側に換気用鎧戸が設置されています。機器室中央には主変換装置及び補助電源装置が、前寄りには主変換装置冷却用の電動送風機が、後ろ寄りには主変圧器及び交直切替器が、機器室両端には発電ブレーキ用抵抗器及び抵抗器冷却用電動送風機が取り付けられています。運転室は気密性を高めると共に、冷房装置を設置しています。車体塗装は赤色とし、裾部にアイボリーとグレーの細帯が配されています。 台車 台車は軽量ボルスタレス方式の両端用がFD7N、中間用がFD8Aで、牽引力は低心皿Zリンク式牽引装置を介して伝達されます。枕バネは空気バネ、軸箱支持方式は軸梁式とし、110km/h運転時の安定性確保のためヨーダンパを取り付けています。基礎ブレーキ装置は焼結合金製の制輪子を採用した車輪踏面片押し式です。また、FD8Aには駐車ブレーキが取り付けられています、駆動装置は1段減速吊掛式で、主電動機の車軸支え部にコロ軸受けを採用することで、歯車噛合精度の向上、メンテナンスフリー化、及び軸受焼損防止を図っています。歯数比は5.125です。 走行機器及び補機 主変換装置は出力565kWの強制風冷式三相かご形誘導電動機FMT4を軸単位で個別に制御するIGBTを用いた3レベルPWMコンバータとIGBTを用いた2レベルインバータが2組で構成されるFMPU16で、力率の改善と高調波の低減、及びベクトル制御の採用により空転時の主電動機トルクの制御応答速度の高速化を実現しています。補助電源装置は主変圧器3次巻線の出力を直列に変換する整流装置と、直流を三相交流に変換するインバータ装置で構成されるFAPU6で、電動送風機等の負荷に三相交流440Vを供給します。また、単相交流100V及び直流100V負荷には、三相440Vを降圧、整流したものを供給します。なお、万一、補助電源装置が故障した場合は、運転台からの遠隔操作で、主変換装置の第1主電動機駆動系統を自動的に補助電源回路につなぎかえることで冗長性を高めています。主変圧器は送油風冷式の外鉄形で、定格出力3,490kVAのFTM4です。電動空気圧縮機はFTC2000-FMH3105が2台、台車間の床下に取り付けられています。集電装置はバネ上昇空圧下降式で交流区間に対応するため鉤外し機構を空圧式としたFPS5です。機関車本体の単弁は発電ブレーキ併用電気指令式ブレーキで、列車のブレーキ指令を行う自弁はノッチ指令に基づいてブレーキ管圧力を減圧する電磁自動ブレーキを採用しています。発電ブレーキは30km/h以上で有効となり、ブレーキ指令に対して発電ブレーキ量が不足する場合は、空気ブレーキで補足します。なお、1300t列車の10パーミル下り勾配における必要容量である2370kWの発電ブレーキ用抵抗器が取り付けられています。 増備 JR貨物は2003年から2013年にかけて、量産機を22両製造しました。量産機からは、車体側面のアイボリーの帯幅が狭くなりました。また、車体側面に"RED THUNDER"ロゴが配されました。 運用 先行量産機EF510-1は2002年2月から10月にかけて行われた基本性能確認試験および営業確認試験を経て量産機が投入され、日本海縦貫線で使用されていたEF81形交直流電気機関車を置き換えました。当初、大阪貨物ターミナルと新潟貨物ターミナル間の貨物列車に使用されていましたが、2007年に青森信号所まで、2012年には百済貨物ターミナルまで運転区間が拡大しました。更に、2015年には岡山貨物ターミナルや名古屋貨物ターミナル、2022年には東海道線大府駅、美濃赤坂駅、中央線の多治見駅まで運転区間が拡大しています。
	主要諸元 項目 内容 電気方式 直流1500V、交流60Hz 20,000V、交流50Hz 20,000V 車両性能 最高速度: 110km/h  車両出力 3,390kW 全長 19,800mm 全幅 2,887mm 重量 100.8t 台車 FD7NI (両端), FD8A (中間) 軸配置 B0-B0-B0 集電装置 FPS5 主電動機 FMT4×6 インバータ装置 FMPU16 設計 JR貨物