E233系3000番台 0番台 2000番台 3000番台 5000番台 6000番台 7000番台 形式一覧	東海道線 辻堂-藤沢
	登場の背景と概要 東海道線で使用されていたE217系が横須賀線の増発に対応するため鎌倉車両センターに戻すこととなり、不足する車両を補うためJR東日本はE233系3000番台近郊形直流電車を開発しました。E233系3000番台は6M4Tの10両編成と2M3Tの5両編成があり、2007年に10両編成と5両編成がそれぞれ1本国府津車両センターに投入されました。 車体 普通車は幅2950mmの軽量ステンレス車体を採用し、台枠横梁、側柱、屋根垂木の位置を一致させたリング構造とすることで、側面強度を向上させました。運転室は踏切事故を考慮して踏切事故時の衝突エネルギ吸収構造を採用したため運転室は長手方向に490mm長くなりました。このため先頭車の一番前の扉がE231系0番台と比べて880mm後ろ寄りに設置されています。車体側面には幅1300mmの自動両開き扉が4カ所設置され、押しボタンによる手動開閉が可能です。扉間及び車端部には熱線吸収ガラスを採用した窓を設置し、中央部を除く扉間は下降窓、それ以外は固定窓です。また、遮音性と断熱性の向上、及び結露防止のため全ての窓に熱線吸収複層ガラスを採用しました。屋根上には50000kcal/hのユニットクーラAU726Aが取り付けられています。通風器は取り付けられていません。 一方、グリーン車は1階部の床幅を確保する目的で車体の裾絞りを小さくしたことから車体幅を2900mmとし、車体側面に幅810mmの片開扉が2箇所設置され、押しボタンによる手動開閉が可能です。2階建部は広幅固定窓、車体両端部の平屋部座席ごとの小窓が設けられました。両端部屋根上には20,000kcal/hのユニットクーラAU729が取り付けられており、冷房装置妻面には2階建ての階上/階下用の、冷房装置底面には平屋部用の吸気口がそれぞれ設けられ、各室の温度を個別に制御します。 いずれも床面高さをE231系より35mm下げた1130mmと低くしており、車体の低重心化とホーム段差の縮小によるバリアフリー化を実現しています。外板は無塗装で側面の窓下には緑とオレンジ色の帯が、窓上には緑色の帯が配されました。前面窓の上にフルカラーLEDの行先表示装置とその左右には高輝度放電灯(HID)を採用した前照灯と角形のLED尾灯が取り付けられた先頭部は銀色塗装されたFRPカバーで覆われています。先頭部を除く車両間に転落防止幌が取り付けられました。戸閉装置はリニアモータ駆動式TKE152で、鴨居部に取り付けられています。また、車体側面にはフルカラーLED行先表示装置と駅で待つ乗客に車掌が案内放送をするためのスピーカが設置されています。10両編成と5両編成を連結するため、クハE233形3000番台及びクハE232形3500番台に自動解結装置が取り付けられています。 台車 台車は軽量ボルスタレス方式の動台車はDT71A、付随台車は先頭車の前位がTR255、それ以外がTR255A、牽引力は1本リンク式牽引装置で伝達されます。床面高さを低くするため、台車側梁を弓形にすることで枕バネ位置を低下されています。枕バネは空気バネ、軸箱支持方式は軸梁式とし、120km/h運転時の安定性確保のためヨーダンパが取り付けられています。動台車の動力伝達方式はCFRP製のたわみ板を用いたたわみ軸継手(TD継手)方式で、歯数比は6.06としています。基礎ブレーキ装置は車輪踏面への熱影響を防止するため動台車が自動隙間調整装置を内蔵したユニット式の車輪踏面片押し式、付随台車は踏面ブレーキを併用した1軸2枚のディスクブレーキとしており、TR255には留置ブレーキも取り付けられています。 走行機器及び補機 モハE233形3000/3200/3400/3600番台に設置された主制御装置はIGBTを採用した2ステップVVVFインバータ制御装置SC90で、モハE232形3000/3200/3400/3600番台を含めた8台の三相誘導電動機MT75(出力140kW)を車両単位で制御しています。5両編成以外電動車ユニット間は、架線セクション間のトロリ線溶断防止のため高圧母線により接続されています。モハE232形3000/3400/3600番台の床下には待機二重系のIGBTを使用した260kVAの補助電源装置SC86Bが取り付けられています。また、モハE232形3000/3200/3400/3600番台及びサハE233形3000番台の床下にはスクリュ方式の電動空気圧縮機MH3124-C1600SN3Bが設置されています。集電装置はシングルアーム式パンタグラフPS33DがモハE233形3200/3400番台の屋根上に1基取り付けられ、モハE233形3000/3600番台は予備パンタグラフを含む2台が取り付けられています。E233系3000番台は10Mbpsの伝送能力を持つ情報管理装置(TIMS)が非常ブレーキを除く動力制御、車内放送、乗務員連絡、非常通報装置などの音声情報、空調制御、自動点検を取り扱っています。空気ブレーキ装置は抑速ブレーキとT車遅れ込め制御を取り入れた回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキで、TIMSにより編成単位でのブレーキ制御を実現しました。先頭車の床下にはATS-P装置とATS-SN装置が設置されています。 客室設備 グリーン車の客室設備はシートピッチが960mmのリクライニングシートで2-2列配置となっており、階上席のモケットの色は青系統、それ以外は赤系統です。平屋部の車内仕切扉は、ファイバセンサ式の自動扉です。E233系は普通列車グリーン車Suicaシステムを導入しており、座席管理装置やSuicaリーダ/ライタが取り付けられました。一方普通車はクハE232形8000/8500番台、クハE233形8000/8500番台とモハE232形3400番台、モハE233形3200番台及びサハE233形3000番台の客室設備はシートピッチ1500mmのセミクロスシート、それ以外は一人あたりの座面幅を460mmとした片持ち式ロングシートで、扉間の座席中間にスタンションポールが設置されています。荷物棚はE231系のパイプ式から、スリットの入った板状に変更されました。吊革は車体全長にわたって取り付けられ、吊革は黒色成型の三角形のもので、優先座席付近のみオレンジ色となっています。各出入台上部にはLED式車内案内表示器とドアチャイムが設置されています。熱線吸収ガラスを側窓に採用したため、カーテンを廃止しています。サロE232形3000番台には乗務員室と業務用室が、クハE232形3000/3500番台とクハE233形3000番台の後側車端には車椅子対応大形トイレが、サロE233形3000番台には洋式トイレと温度調節付き自動水栓を備えた洗面所が設置されており、いずれも真空式汚物処理装置が採用されています。運転席に速度計や圧力計などを表示する液晶ディプレイが3面取り付けられ、左手ワンハンドルマスコン方式を採用しました。 増備車 2007年に国府津車両センターに10両編成と5両編成が各1本追加投入されました。 引き続き、田町車両センターの211系を置き換えるため、E233系3000番台の10両編成と5両編成がそれぞれ14編成2011年9月から翌年4月にかけて投入されました。この時製造された車両から6号車には後位側には真空式汚物処理装置を採用した洋式便所を追加設置したモハE232形3800番台に変更されました。モハE232形3800番台は床下に水タンクを設置したことで床下に補助電源装置が取り付けできないため、6号車に使用されていた補助電源装置を設置したモハE232形3000番台は8号車に振り替えられました。7号車に使用されていたモハE233形3000番台と3号車に使用されていたE233形3400番台が振り替えられました。また、モハE233形の主制御装置は小形軽量化を図った2ステップVVVFインバータ制御装置SC98に変更されています。 さらに、2012年4月から翌年2月にかけて、17本の10両編成と16本の5両編成が高崎車両センターに投入されました。なお、田町車両センター配属のE233系3000番台は2013年3月に国府津車両センターに、高崎車両センター配属車は2015年3月に小山車両センターに転属しました。 2014年12月から翌年1月にかけて3本の5両編成が製造されて小山車両センターに、2015年3月から2017年5月にかけて3本の5両編成が製造されて国府津車両センターにそれぞれ投入されました。 運用 2008年3月より国府津車両センターに投入されたE233系3000番台が東海道線で営業運転を開始しました。その後田町車両センターの211系を置き換えたE233系3000番台が2011年11月より東海道線で営業運転を開始しました。一方、高崎車両センターに投入されたE233系3000番台は、2012年9月より高崎、上越、両毛線で、2013年3月より東北線で営業運転を開始しました。2015年3月に全車小山車両センターに転属すると共に、東北線東京-上野間の線増に伴いE233系3000番台全車両が、東海道線、東北線、高崎線、上越線、伊東線、両毛線の快速電車、普通電車に使用されています。
	主要諸元 項目 内容 電気方式 直流1500V 車両性能 加速度: 2.3km/h/s 減速度: 4.2km/h/s　最高速度: 120km/h  全長 19500mm 全幅 2950mm 全高 3620mm 台車 DT71A, B(動台車)　TR255A (付随台車) 集電装置 PS33D 主電動機 MT75 (140kW) 駆動装置 中実軸TD平行カルダン方式 (歯数比: 6.06) 制御方式 2ステップVVVFインバータ制御(SC90, SC98) 冷房装置 AU726A (50,000kcal/h) 設計 JR東日本