登場の背景と概要
721系1000番台を6両編成化するため4100番台や5100番台に改造し所要7編成を組成した際に先頭車が1組余剰となったため、JR北海道は2003年に中間電動車モハ721-5001の製造と、先頭車の改造を行い721系5000番台に区分しました。
車体
721系5000番台は車体長20,800mm、幅2,900mmで、台車中心間距離を144,400mmとした広幅車体で、重量物用の横梁に耐候性鋼板(SPA)を用いた以外はステンレス鋼を採用しました。騒音対策と断熱性向上のため、アンダーシールが721系0番台より3mm厚く塗布されました。車体外板はビード出しプレス加工を施したステンレス薄板を採用し、前頭部がシルバーメタリック塗装、前面窓周りは黒色塗装、それ以外の外板は無塗装で前面、及び側面の窓下と幕板にはライトグリーン色の帯が配されました。先頭部は耐候性鋼板で、中央部に貫通扉が設置されており、貫通扉の左右にはパノラミックウィンドウを採用した前面窓が設置されています。貫通扉上には種別表示幕が取り付けられ、種別表示幕の左右には雪が付着しても視認性の悪化を抑制するためガラス板でカバーされた前照灯と尾灯が設置されています。また、前面窓下にも前照灯が設置されています。先頭部を除く車両間に転落防止幌が取り付けられました。クハ721形5000番台の車体側面には1000mm幅のステップ付き片開き扉が3箇所設置され、扉間には戸袋窓とポリカーボネイトを採用した2枚の固定窓、及び1枚の下降窓が設置されています。一方、モハ721-5001は押しボタンによる手動開閉準備工事が実施された1000mm幅のステップ付き片開き扉が3箇所設置され、扉間にはポリカーボネイトを採用した2枚の固定窓、及び1枚の下降窓が設置されています。また、車体側面には行先方向幕の他、電動車にはサイクロン方式の雪切室用ルーバが車端に設置されています。戸閉装置はTK103Aです。クハ721形5000番台の屋根上には23,000kcal/hのユニットクーラN-AU721Aが、モハ721形5000番台の屋根上には冷媒をR407Cとした30,000kcal/hのユニットクーラN-AU722と床下機器間には雪の付着と機器損傷を防止するため板厚1mmのステンレスのふさぎ板が設置されました。
台車
台車はボルスタレス方式の動台車がN-DT721B、付随台車がN-TR721Aで、牽引力は1本リンク式牽引装置で伝達されます。枕バネは空気バネ、軸箱支持方式は軸梁式とし、130km/h運転時の安定性確保のためヨーダンパが取り付けられています。動台車の動力伝達方式はCFRP製のたわみ板を用いたたわみ軸継手(TD継手)方式とし、歯車比は5.19としました。基礎ブレーキ装置は車輪踏面両抱式です。
走行機器及び補機
モハ721形5000番台の床下にはIGBTを用いた3レベルPWMコンバータとIGBTを用いた2レベルインバータで構成される主変換装置N-CI721-2と走行風冷却式主変圧器N-TM721A-ANが設置され、出力230kWの強制通風式誘導電動機N-MT731を台車単位で制御しています。また、クハ721-5002の床下には電動空気圧縮機N-MH1785-C2000MLと出力8kVAの補助電源装置N-APS721Bが取り付けられています。空気ブレーキ装置は回生ブレーキ併用電気指令式を採用しています。
客室設備
普通車車内は出入口と客室の間に仕切壁と両開き扉が設置され、クハ721形5000番台の客室内はシートピッチ910mmの転換クロスシートが客室端部は1-1列、それ以外は2-2列で設置されています。モハ721形5000番台の普通車は出入口と客室の間に仕切壁と片開き扉が設置され、ドア横にロングシート、ドア間にシートピッチ910mmの転換クロスシートを2-2列で設置したセミクロスシートです。ロングシートの上方には吊革が取り付けられています。クハ721-5002の前側客室前寄りに車椅子スペースが、クハ721-5001の車体後方には汚物処理装置を採用した和式トイレと水タンクが設置されています。
改造
クハ721形5000番の床下機器間には板厚1mmのステンレスのふさぎ板を追加し、雪の付着と機器損傷を防止しています。
運用
721系5000番台は731系、733系とともに函館線、千歳線と札沼線の普通電車に使用されています。 |
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| 主要諸元 |
| 項目 |
内容 |
| 電気方式 |
交流20,000V, 50Hz |
| 車両性能 |
加速度: 2.4km/h/s 減速度: 4.1km/h/s 最高速度: 130km/h |
| 全長 |
20,800mm |
| 全幅 |
2,900mm |
| 全高 |
3,670mm |
| 台車 |
N-DT721B(動台車) N-TR721A(付随台車) |
| 集電装置 |
N-PS785 |
| 主電動機 |
N-MT731(230kW) |
| 駆動装置 |
中実軸TD平行カルダン(歯数比: 5.19) |
| 主変圧器 |
N-TM721-AN |
| 制御方式 |
VVVFインバータ制御(N-CI721-2) |
| 冷房装置 |
N-AU721A(20,000kcal×1), N-AU722(30,000kcal×1) |
| 設計 |
JR北海道 |
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