223系5000番台

223系5000番台
5000系

0番台
1000番台
2000番台
2500番台
5000番台
5500番台
6000番台

形式一覧

Photos

223系5000番台
宇野線早島-備中箕島

5000系
予讃線讃岐府中-国分

登場の背景と概要
岡山と高松を結ぶ快速「マリンライナー」は1988年に運転を開始し、都市間輸送や通勤・通学輸送に利用されていましたが、明石海峡大橋や高速道路の整備に伴い、利用者数が年々減少していました。また快速「マリンライナー」に使用されていた213系は塩害による機器故障が増加してきていました。そこで、JR四国とJR西日本は、「マリンライナー用」5000系/223系5000番台を2003年に開発しました。その際、213系は全てJR西日本の車両で運用されていましたが、JR四国の車両使用料の負担が大きかったことから、5両編成の内、高松寄りの3両編成がJR四国の所有する5000系、岡山寄りの2両編成をJR西日本が所有します。
5000系は1M2Tで、高松寄の先頭車はJR東日本のE217系グリーン車をベースに開発された2階建車、それ以外は223系2000番台をベースに開発されました。

クモハ223₅₀₀₀	クハ222₅₀₀₀	5000	5200	5100
0.75電動車	付随車	電動車	付随車	2階建付随車
主制御器補助電源装置コンプレッサ	WC	主制御器補助電源装置コンプレッサ		グリーン車 WC

車体
5000系/223系5000番台はビードレス広幅軽量ステンレス車体を採用しました。2階建てグリーン車は、1階部の床幅を確保する目的で車体の裾絞りを小さくしたことから、車体幅を2900mmとしました。車体は1.5mm厚のステンレス鋼を使用し、2階建部の低床台枠は厚板の鋼製としており、低重心化を実現しています。台車中心間距離は低床台枠寸法を確保するため14150mmとしました。また、先頭部も踏切事故対策として前面強化構造を採用した非貫通の普通鋼製です。車体側面には前位側は幅720mmの片開き扉が、後位側は車椅子対応の幅860mmの片開き扉が2箇所設置され、2階建部は広幅固定窓、車体両端部の平屋部座席ごとの小窓が設けられました。外板は無塗装で、車体中央及び低床台枠部は紺色に塗装され、2階建て部は青系、あるいは赤系のアクセント、及び"Marine Line"ロゴが配されています。また、車体側面にはLED行先表示装置が設置されています。車端屋根上には20,000kcal/hのユニットクーラAU715Sが2台設置されています。
普通車の車体幅は2950mmで2mm厚のステンレス鋼を使用し、下降窓を導入するため2シート工法を導入した戸袋部以外は、梁と外板を組み合わせた構造としています。台車中心間距離は車両限界を考慮して13800mmとしています。外板は無塗装で側面の窓下にはベージュ、ぶどう色、青色、及び白色の帯が配されました。また、戸袋部にはぶどう色が配されています。先頭部は普通鋼製で、開放感のある大きな前面窓をもち、車体前面中央に常時貫通構造となるよう幌座付きの貫通扉が設けられたため、223系2000番台に対して形状が変更されています。車体側面には幅1300mmの自動両開き扉が3カ所設置され、押しボタンによる手動開閉が可能です。戸閉装置は直動式のWTK112Bで、鴨居部に取り付けられています。扉間には高さ950mmの5連窓が設けられ、その内2箇所が下降窓となっています。窓ガラスが飛来物貫通防止性能を向上とUVカット機能を付与した付き熱線吸収合わせ複層強化ガラスとしています。先頭運転室ブロック及び妻構体ブロックはボルト締結による後付けとし、踏切事故時の補修及び将来の改造の容易化を図っています。車体側面には種別幕及びLED行先表示装置が設置されています。車体の低重心化をしたことで、全ての車両の屋根上には20000kcal/hのユニットクーラWAU705Aが2台取り付けられています。空調機には駅で待つ乗客に車掌が案内放送をするためのスピーカが設置されました。通風器は取り付けられておらず、ユニットクーラのファンにより新鮮気を取り入れるようになっています。分割併合を容易にするため、5101及び全ての普通車先頭部には自動解結装置が取り付けられました。

台車
台車は軽量ボルスタレス方式の動台車がWDT59/S-DT63、付随台車がWTR243/S-TR63、2階建てグリーン車用付随台車がS-TR64で、牽引力は1本リンク式牽引装置で伝達されます。床面高さを低くするため、台車側梁を弓形にすることで枕バネ位置を低下されています。枕バネは空気バネ、軸箱支持方式は軸梁式とし、130km/h運転時の安定性確保のためヨーダンパ及びアンチローリング装置を取り付けています。基礎ブレーキ装置は車輪踏面への熱影響を防止するため動台車が自動隙間調整装置を内蔵したユニット式の車輪踏面片押し式、付随台車は踏面ブレーキを併用した1軸2枚のディスクブレーキとしています。

走行機器及び補機
主制御装置はIGBTを採用し出力220kWの三相誘導電動機WMT102B/SMT102Bを軸単位で個別制御する3ステップVVVFインバータ制御部と150kVAの出力を持つ補助電源ユニットを一体化したWPC13-G2/SPC13で、補助電源ユニット故障時は主電動機を1群開放し、VVVFインバータをCVCF運転することで補助電源機能をバックアップできます。VVVFインバータにはベクトル制御が導入されています。動力伝達装置はWN継手からTD継手に変更されています。電動空気圧縮機はスクリュー方式のWMH3098-WRC1600でクモハ223形の床下に設置されています。集電装置は耐雪構造の下枠交差式パンタグラフWPS27D/SPS60が電動車の屋根上に1基取り付けられ、2基取付が可能な準備工事が実施されています。空気ブレーキ装置は回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキで、抑速ブレーキとT車遅れ込め制御を取り入れています。

客室設備
グリーン車の客室設備は階上席及び運転席後部展望席はグリーン席、階下席及び車端席は普通席とし、グリーン車はシートピッチ1000mm、普通車はシートピッチ970mm自動回転式リクライニングシートが2-2列に設置されています。出入口から階上、階下へのアクセスに螺旋階段が設けられています。荷棚が設置できないことから、荷物置場が設けられています。後位側には車椅子対応大型トイレ、男性用小便器、及び車椅子スペースが設けられています。
普通車の客室設備は、扉間はシートピッチ910mmの転換クロスシートが2-2列で設置され、乗降扉に面した座席の背面には収納式の補助椅子を設置しました。窓際の座席は肘掛けが廃止されました。混雑時は補助椅子を折りたたんで自動ロックすることで、出入り台付近のスペースを広くとり、乗り降りがスムーズにできるようにしました。客室天井は冷房用ダクトを天井内に埋め込まれ、また冷風吹出口がスリット状になりました。吊革は車体全長にわたって取り付けられています。出入台上部にはLED式車内案内表示器が千鳥に設置されました。クハ222形5000番台にはカセット式汚物処理装置付き車椅子対応大型トイレと車椅子スペースが設けられています。

運用
223系5000番台/5000系は2003年10月より、快速「マリンライナー」として営業運転を開始しました。2007年より混雑対策として、サハ223形2000番台を2両編成に挿入して3両編成としていましたが、2010年にサハ223形2000番台は返却されました。
223系5000番台/5000系は現在、快速「マリンライナー」として活躍をしています。

主要諸元(223系5000番台)
項目	内容
電気方式	直流1500V
車両性能	加速度: 2.5km/h/s　減速度: 4.3km/h/s　最高速度: 130km/h
全長	19500mm
全幅	2950mm
全高	4140mm
台車	WDT59(動台車)　WTR243 (付随台車)
集電装置	WPS27D
主電動機	WMT102B (220kW)
駆動装置	中実軸TD平行カルダン方式(歯数比: 6.53)
制御方式	3ステップVVVFインバータ個別制御(WPC13)
冷房装置	WAU705A (20000kcal/h×2)
設計	JR西日本

主要諸元(5000系)
項目	内容
電気方式	直流1500V
車両性能	加速度: 2.5km/h/s　減速度: 4.3km/h/s　最高速度: 130km/h
全長	19500mm
全幅	2950mm
全高	4140mm
台車	S-DT63(5000)　S-TR63(5200) S-TR64 (5100)
集電装置	SPS60
主電動機	SMT102B (220kW)
駆動装置	中実軸TD平行カルダン方式(歯数比: 6.53)
制御方式	3ステップVVVFインバータ個別制御(SPC13)
冷房装置	WAU705A (20000kcal/h×2), AU715S (20000kcal/h×2, 5100用)
設計	JR四国