登場の背景と概要 JR九州が運行していたトロッコ列車「TORO-Q」の老朽化に伴い、新しいD&S列車として「JRKYUSHU SWEET TRAIN 或る列車」用として2015年にキロシ47形を開発しました。キロシ47形はJR四国で廃車となり譲渡されたキハ47 176とキハ47 1505を改造しています。改造のデザインコンセプトは1906年に九州鉄道がアメリカ・ブリル社に発注した豪華列車のイメージをモチーフに水戸岡鋭治氏が再現したものです。 車体 キロシ47 9176はキハ47 176から、キロシ47 3505はキハ47 1505から改造されました。先頭部の貫通扉は幌枠が撤去され、窓の形状楕円形に変更され、屋根上中央に前照灯が増設されています。先頭部及び側面後方の車体下部には真鍮とステンレスを加工した唐草模様が取り付けられています。キロシ47　3505は前側、キロシ47 9176は後ろ側の側扉が埋められています。残された側扉は両開のままですが、扉の窓がステンドグラスに取り替えられています。座席部にある側窓は固定式に改造され、窓の上方にはアーチ形状の飾りが、飾り及び窓の縁には金色の帯板が取り付けられています。また、腰板にも縦方向、及び長手方向に金色の帯板が取り付けられています。座席がない側窓部は埋められ、真鍮製のエンブレムが取り付けられています。車体側面には車外スピーカが設置され、車体全体は金色に塗装されています。冷房装置は走行機関直結式のAU619K (20,600kcal/h)とサブエンジン式のAU620K (20,000kcal/h)で、室内機が屋根上に、室外機が床下にそれぞれ取り付けられています。通風器は撤去されました。 台車 キロシ47 9176はキハ47 176のDT22D/TR51Cを流用しており、枕バネにコイルバネを採用し、軸箱支持方式はウイングバネ式ペデスタル方式です。枕バネには乗り心地向上のため、可変減衰ダンパが取り付けられています。キロシ47 3505はキハ47 1505から流用したペデスタル軸箱支持方式を採用したインダイレクトマウント空気バネ台車TR227と廃車発生品の円筒案内式軸箱支持方式を採用したインダイレクトマウント空気バネ台車DT44Aを流用しており、このうちDT44Aは2軸駆動化されDT44BKに型式が変更されています。 走行機器及び補機 性能を向上のため、機関を出力300PSのコマツ製SA6D125H-1A、液体変速機を新潟コンバータ製のTACN-22-1612Aに更新しました。車内で提供するスイーツを保冷する冷蔵庫に電源を供給するため、床下には6kVAのデンヨー製ディーゼル発電機DCA-6LSXが取り付けられています。空気ブレーキ装置はCLE空気ブレーキ電気指令式空気ブレーキで機関ブレーキが併用可能です。 客室設備 キロシ47 9176 内装素材にメープル材を使用しており、天井は漆喰塗装を施した格子天井とされ、壁材は突板とメープル材を使用し、床面はフローリングと絨毯の組み合わせとしています。車内は開放室で、2名用テーブル席を5席、4名用テーブル席を3席設置しており、前位側に冷蔵庫、後位側に食事を提供する厨房が設けられ、カウンターテーブルが設置されています。窓には木製ロールブラインド、組子障子、カーテンが取り付けられています。また室内各所に組子の装飾品が取り付けられています。キハ47 176に設置されていたトイレは撤去されました。 キロシ47 3505 内装素材にウォールナット材を使用しており、天井はLEDによる全面光天井とされ、壁材は突板とウォールナット材を使用し、床面はウォールナット材を使用しています。車内は2人用コンパートメントが8箇所設置され、組子を使用した雪見障子で区切られています。窓には木製ロールブラインド、組子障子、カーテンが取り付けられています。後位側にはドリンクを提供する厨房が設けられ、カウンターテーブルが設置されています。前方には洋式トイレ、及び車椅子対応トイレが設置されています。厨房とトイレ部の床面は大理石です。 運用 キロシ47形は2015年8月に久大線の大分-日田間で営業運転を開始しました。その後、鹿児島線、佐世保線、大村線、長崎線などで運転されています。