登場の背景と概要
非電化区間で使用されていたキハ17系気動車の老朽化が著しくなったことから、1977年に国鉄は暖地用キハ47形0番台片運転台一般形気動車を開発しました。1987年の分割民営化に伴い、キハ47形0/1000番台はJR東日本に5両、JR東海に5両、JR西日本に193両、JR四国に23両、JR九州に162両が継承されました。
車体
車体は片運転台車で、車体長20806mm、車体幅2930mmの大型車体を持つ普通鋼製とし、側面の外板は1.6mm、屋根と床板は1.2mmの車両用耐候性高張力鋼板を使用しています。前面窓下は踏切事故対策として4.5mmの鋼板を用いると共に高運転台構造を採用しました。前面にはすきま風を防止するため膨張性シールゴムが使用された貫通扉が取り付けられており、貫通扉の上には行先表示幕、その左右にはシールドビームを採用した前照灯が取り付けられています。車体側面には1300mm幅のステップ付き両開き半自動扉が2箇所設置されています。戸閉装置はTK106で鴨居部に取り付けられています。扉間には2段上昇式ユニット窓が取り付けられています。屋根上には押込み形通風器とトイレ用として250lのFRP製水タンクが2つ設置され、鉄製のカバーで覆われています。床下には15,000kcal/hの暖房用熱交換器が2台取り付けられており、機関冷却水の熱で暖めた空気を電動ファンで車内に送り込みます。車体全面が朱色5号に塗装されています。
台車
台車は動台車がDT22D、付随台車がTR51Cで、枕バネにコイルバネを採用し、軸箱支持方式はウイングバネ式ペデスタル方式です。基礎ブレーキ装置は車輪踏面片押し式で、ブレーキシリンダは車体装荷となっています。
走行機器及び補機
機関はシリンダヘッドが1筒一体形で出力が220PSのDMF15HSAで、高出力を得るためTB15過給器が取り付けられています。液体変速機は1段3要素の充排油方式で、キハ66系のDW9を改良したDW10とし、湿式多板クラッチを採用しています。床下には機関により駆動されるCW750D空気圧縮機が取り付けられています。ブレーキは応荷重装置付電磁自動 (CLE)ブレーキを採用しています。
客室設備
客室設備はシートピッチ1470mmのセミクロスシートで、天井に扇風機が設置されました。車体後寄りには和式トイレが設置されています。
増備車
トイレ付き車両をできるだけ減らす方針に基づき、1978年にトイレを客室に変更したキハ47形1000番台が登場しました。
改造
国鉄
国鉄は鹿児島地区に配属されていた6両のキハ47形0番台と3両のキハ47形1000番台に対して25,500kcal/hのサブエンジン式冷房装置AU34を取り付ける工事を1986年に実施しました。
JR東日本
八高線や水郡線で使用されていたキハ47形0番台/1000番台が1992年に東北地区や新潟地区に転用されることとなり、床下機器に防雪カバーの取り付けと暖房の強化工事が実施されました。
JR東海
・キハ47形5000番台
キハ47形0番台に対して1989年に24,000kcal/hのサブエンジン式冷房装置C-AU27の取り付け改造が行われました。その後、1997年と1999年に機関を出力350PSのC-DMF14HZBに、液体変速機をC-DW14Aに取り替える改造が実施され、5000番台で区分されました。
・キハ47形6000番台
1989年からキハ47形1000番台に24,000kcal/hのサブエンジン式冷房装置C-AU28の取り付け改造が行われました。その後、1997年と1999年に機関を出力350PSのC-DMF14HZBに、液体変速機をC-DW14Aに取り替える改造が実施され、6000番台で区分されました。
JR西日本
JR西日本はワンマン運転を行うため、整理券発行機を出入り口に、運賃表示器と運賃箱を運転席後部に設置する改造を1989年より開始し、133両が改造されました。この際、運転席後ろのロングシートは撤去されています。
また、26,000kcal/hのサブエンジン式冷房装置AU34を取り付ける工事が1990年より実施され、全ての車両が改造されました。更に、車両保守費の低減と走行性能の向上を目的として、1995年から2001年にかけて機関が330PSのコマツ製SA6D125H-1Aに、変速機がKTF3335A-1Aに取り替える改造を実施しました。車体の補修、側窓を下段固定上段上昇窓への取り替え、車内化粧板の更新、半自動扉の押しボタンによる手動開閉機能の追加、そして27,000kcal/hの機関直結式冷房装置WAU201に取り替えを行う延命工事が1999年から2010年にかけて実施されました。
なお、広島、山口地区で使用されている車両には、車体側面にLED式行先表示装置が取り付けられました。
・キハ47形2000番台
JR西日本は1993年に吉備線と津山線で使用されている3両のキハ47形0番台の内装をロングシートに改造し2000番台で区分しました。1994年には山陰線、境線、芸備線で使用されている20両のキハ47形0番台の内装を中央部のボックスシート4箇所以外を全てロングシートに改造し2000番台で区分しました。
・キハ47形3000番台
JR西日本は1993年に吉備線と津山線で使用されている2両のキハ47形1000番台の内装をロングシートに改造し3000番台で区分しました。1994年には山陰線、境線、芸備線で使用されている18両のキハ47形1000番台の内装を中央部のボックスシート4箇所以外を全てロングシートに改造し3000番台で区分しました。
JR四国
JR四国は1988年に18,000kcal/hの電気式冷房装置F-TUR300-104を2台屋根上に、冷房装置への電源を供給する44PSのディーゼル発電機S4F床下に設置しました。
JR九州
JR九州はキハ47形0番台とキハ47形1000番台に対してAU34を基に冷房能力を2,700kcal/としたサブエンジン式冷房装置K-AU600を取り付ける工事を1987年から開始しました。また、屋根上の押込式通風器は全ての車両において、キハ47形0番台の屋根上水タンクについては、老朽化が進行した一部にいて撤去が実施されました。なお、一部の車両に対して冷房能力を向上するため、走行機関直結式のAU619K (20,600kcal/h)が取り付けられています。
・キハ147形0番台
高出力のキハ66系が運用されていた篠栗線において輸送力を増強するため、6両のキハ47形0番台に対して出力360PSの神鋼造機製機関DMF14HZと神鋼造機製液体変速機SCR1.0-4、あるいはコマツ製機関DMF13HZAと新潟鐵工所製液体変速機DW14-Dへの取り替え、及び空気圧縮機をCW600への取り替えを1990年から1992年の間に実施しました。また、11両のキハ47形0番台に対して360PSのコマツ製機関SA6D125HD-1と新潟鐵工所製液体変速機DW14Eへの取り替えを1992年から1993年に実施しました。なお、最初の6両については、後年コマツ製機関SA6D125HD-1と新潟鐵工所製液体変速機DW14Eへ再度取り替えが実施されています。
・キハ147形1000番台
高出力のキハ66系が運用されていた篠栗線において輸送力を増強するため、4両のキハ47形1000番台に対して出力360PSの神鋼造機製機関DMF14HZと神鋼造機製液体変速機SCR1.0-4、あるいはコマツ製機関DMF13HZAと新潟鐵工所製液体変速機DW14-Dへの取り替え、及び空気圧縮機をCW600への取り替えを1990年から1992年の間に実施しました。また、9両のキハ47形1000番台に対してコマツ製機関SA6D125HD-1と新潟鐵工所製液体変速機DW14Eへの取り替えを1992年から1993年に実施しました。なお、最初の6両については、後年コマツ製機関SA6D125HD-1と新潟鐵工所製液体変速機DW14Eへ再度取り替えが実施されています。
・キハ47形5000番台
指宿枕崎線の高速化のため、4両のキハ47形0番台に対してDMF15HSAに対して過給器をTA51に、燃料噴射ポンプをNB型に、燃料制御装置を電気式とすることで出力を300PSとする改造を1997年に実施し、DMF15HSA-Pに型式変更され、5000番台に区分されました。
・キハ47形6000番台
指宿枕崎線の高速化のため、4両のキハ47形1000番台に対してDMF15HSAに対して過給器をTA51に、燃料噴射ポンプをNB型に、燃料制御装置を電気式とすることで出力を300PSとする改造を1997年に実施し、DMF15HSA-Pに型式変更され、6000番台に区分されました。
・キハ47形8000番台
キハ47形0番台を高出力化した車両を運行している線区で使用されている未改造のキハ47形0番台の機関をコマツ製のSA6D125H-1A (300PS)に、液体変速機を新潟コンバータ製TACN-22-1612Aに取り替える改造を1999年より実施し8000番台で区分されました。2004年からは機関が排気ガス対策としてコモンレール燃料噴射システムを採用した出力300PSのコマツ製SA6D125HE-1に変更されており、20両のキハ47形0番台と4両のキハ47形5000番台が改造されました。
・キハ47形9000番台
キハ47形1000番台を高出力化した車両を運行している線区で使用されている未改造のキハ47形1000番台の機関をコマツ製のSA6D125H-1A (300PS)に、液体変速機を新潟コンバータ製TACN-22-1612Aに取り替える改造を1999年より実施し9000番台で区分されました。2004年からは機関が排気ガス対策としてコモンレール燃料噴射システムを採用した出力300PSのコマツ製SA6D125HE-1に変更されており、18両のキハ47形1000番台と4両のキハ47形6000番台が改造されました。
運用
キハ47形0/1000番台は北海道以外の非電化路線のローカル輸送に使用されてきました。しかし、JR東日本ではキハ100系、キハ110系、キハE130系への置換えにより、一部のジョイフルトレインを除いて2021年に全て廃車となりました。また、JR東海でもキハ25形への置換えにより2016年に全車廃車となりました。
一方、JR西日本、JR四国、JR九州ではYC-1形の置換えで廃車が発生したJR九州を除いて、引き続き非電化路線のローカル輸送に使用されています。 |
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